離婚後に子どもに会いたい… 面会交流調停を弁護士に依頼する時に知っておきたいこと

2018年01月24日
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離婚後に子どもに会いたい… 面会交流調停を弁護士に依頼する時に知っておきたいこと

夫婦関係が悪化してしまったら、(元の)配偶者が子どもを連れて、家を出てしまうことがあります。そんなとき、子どもと二度と会えなくなるのではないかと心配になることもあるでしょう。「離婚後、何年も子どもと会っていない」というケースもあります。

そんなとき、子どもと会う方法はないのでしょうか?

今回は、面会交流の話し合いや法律的な手続きによって、子どもとの面会や連絡を実現する方法について、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士が解説します。

1、面会交流権とは

面会交流権とは

夫婦関係が悪化して離婚した場合や、離婚前であっても別居に至った場合、その後子どもと長年会えなくなるというケースがあります。とくに、離婚や離婚にともなう条件(親権、財産分与、慰謝料等)について激しく争った場合などは、(元の)配偶者が子供と会わせてくれなくなることが多いです。

そのようなとき、子どもと会う方法はないのでしょうか?

別居している親子でも親子である以上、互いに面会をして交流することが権利として認められており、この権利は「面会交流権」と呼ばれます。別居している親子間の面会交流は、子どもが健全に成長していくために必要なものと考えられていますので、主として子どものための権利というべきですが、子どもと離れて生活する親の権利という側面もあります。

そこで、子どもと離れて生活する親(非監護親)が、子どもを一緒に生活する親(監護親)に対し、子どもとの面会交流を請求することが法律上認められています。
そのため、監護親が子どもの利益に反して面会交流を拒絶しているのであれば、法的な手続きによって面会交流を実現することも可能です。

2、面会交流の決め方

面会交流の決め方

それでは、面会交流の条件は、どのようにして決めるのでしょうか?

まず考えられる方法は、別居や離婚の話し合いをするときに、同時に面会交流の条件を決めてしまうことです。話し合いによって面会交流の条件を決めることができたら、その内容は書面に残しておくことが望ましいといえます。
離婚時までに面会交流についての取り決めをせず、離婚後に取り決めをする場合には、監護親に電話やメール、手紙などで連絡を入れて、面会交流の条件を話し合う必要が出てくるでしょう。

もっとも、通常、子どもが大きくなってくると、子供は自分の意思で自由に親と交流することができるようになるため、親同士が面会交流の条件を取り決めるのは、主に子どもが小さい間といえるでしょう。
当事者だけでの話し合いによる取り決めが難しい場合には、裁判所を利用して、面会交流調停で話し合うことや、面会交流審判を求めることが考えられますが、これらについては、後で詳しく説明します。

3、面会交流で配慮すべき内容

面会交流で配慮すべき内容

面会交流の条件を取り決めるときには、以下のように配慮すべきことがあります。

  1. (1)子どもの事情を優先する

    面会交流の条件を取り決めるにあたって、まず大事なことは、子どもの気持ちや都合を尊重することです。

    面会交流は、主に子どものための権利ですから、子どもの気持ちや都合を無視して無理に面会をすべきではありません。そのような形で面会をしても、子どもは楽しくないでしょうし、だんだんと会いたくなくなってしまいます。

    ですから、できるかぎり、子どもの心身の状態に配慮し、また、学校の都合や、習い事やクラブなどをしているような場合にはそれらの都合なども考慮して、子どもの事情を最優先に日時や場所などを決めてあげることが望ましいといえるでしょう。

  2. (2)監護親の事情にも配慮する

    面会交流をするにあたっては、子どもの年齢や状況によって、子ども受け渡しなど監護親の協力が必要になる場合があります。また、面会交流を長く継続して実施していくためには、面会交流の条件などについて監護親が納得していることも大切です。

    そこで、面会交流について取り決めるにあたっては、監護親の事情にもできるかぎり配慮してあげることが望ましいでしょう。たとえば、監護親による子どもの受け渡しが必要な場合に、監護親がいわゆる正社員として仕事をしているような状況であれば、週に3回の面会交流を希望しても実現は難しいかもしれません。面会交流については、監護親と非監護親がお互いに相手の事情を尊重する姿勢がないと、合意によって取り決めをすること自体難しいでしょうし、取り決めをしてもすぐに実施されなくなってしまうこともありえるでしょう。

4、面会交流で決める内容

面会交流で決める内容

面会交流の取り決め内容には、特に決まりはありません。親と子どもとの関係や監護親と悲観監護親との関係、それぞれの都合等を踏まえて、頻度・日時・場所・受け渡し方法などを自由に定めることができます。これらをあらかじめ具体的に定めることが難しいような場合には、「子どもの福祉を尊重して協議により定める」といった取り決めにとどめることもありえます。

具体的に定める場合、頻度としては、標準的には月1回程度と言われていますが、月2回や3回にしてもかまいませんし、2ヶ月に1回や1年に3~4回程度とすることもあります。また、月1回の土日は宿泊を伴う面会としたり、夏休みと冬休みには長期旅行やスキーに行くとしたりするといった内容を取り決めることもあるでしょう。非監護親と子及び監護親とが互いに遠方に居住している場合には、面会交流の場所を具体的に定める必要があるかもしれません。

さらに、たとえば非監護親が面会交流時に子ども自身の祖父母と会わせたいと考えているような場合には、無断で祖父母に会わせると、後になって監護親から「祖父母に会わせるとは聞いていない」と言われてトラブルになることもあるので、その旨も取り決めておく方が無難かもしれません。

5、面会交流調停(審判)とは

面会交流調停(審判)とは
  1. (1)面会交流調停によって、話し合いができる

    監護親である相手と面会交流の話し合いをしようとしても、相手が応じないことがあります。「子どもとは会わさない」「今、やっと落ち着いて生活しているのだから、乱さないでほしい」「もう、私たちとは関わらないで。養育費も要りません」などと言われることもあります。

    しかし、さきほど説明したように、面会交流は離れて生活する親子間に認められた権利であり、(養育費や婚姻費用の支払が必要だとしても)養育費や婚姻費用の支払・受取と面会交流は引換えではありません。

    そこで、相手が面会交流の話し合いに応じないときには、家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てることが考えられます。

    面会交流調停とは、面会交流の条件などについて、裁判所の調停委員が監護親と非監護親との間に入り、話し合いをすることによって決める手続きです。
    監護親と非監護親が直接顔を合わせて話し合う必要がなく、第三者である調停委員が間に入ることで、お互いに感情的にならずに話し合いを進めることが期待できます。面会交流の条件などについて合意ができたら、調停成立となり、裁判所が合意した内容を調停調書という書面に残してくれます。

    面会交流調停は、離婚前の別居状態でも利用することができますので、離婚訴訟中などで、監護親が子供との面会を認めないケースなどでも、面会交流調停によって離婚成立前に面会交流を実現できる可能性があります。

  2. (2)調査官調査について

    非監護親は、長期間子どもに会っていない状況であれば、子どもがどのように生活しているのか全くわからないものです。また、監護親が「子どもが会いたくないと言っているので、会わせない」と説明してくることも少なくないと思います。
    このようなとき、「子どもは実際にどのような生活をしているのか」「本当に子どもは自分に会いたくないと言っているのか」といった疑問がわくでしょう。

    この点、面会交流調停の手続においては、子どもの生活状況や意思などについて、調査官による調査が行われることがよくあります。調査官とは、家庭環境や子どもの状況などを調査すべく、心理学や教育学などについての専門知識を有した家庭裁判所の職員です。

    調査の具体的な方法としては、調査官が監護親の自宅を訪問して、生活状況を確認したり、直接子どもから話を聞いたりします。そして、その結果を報告書にまとめて裁判所に提出します。
    非監護親は、その調査官の報告書の内容を確認することで、子どもの生活状況や意思などを把握することができます。

  3. (3)面会交流審判とは

    ただ、当事者同士の話し合いによっては、どうしても合意ができないことがあります。そのような場合、調停は不成立となり、面会交流調停は、面会交流審判に移行します。
    審判とは、裁判官が、事件内容を踏まえて、適切な面会交流の方法を法的に判断・決定するもので、おおまかにいえば、裁判と同じような手続といえるでしょう。

    たとえば、監護親に対し、非監護親が月1回、毎月第2土曜日に子供と面会交流を行うことを認めさせるような内容の審判が出たとすると、監護親は、その内容のとおり非監護親が子どもと面会交流することを認める法的な義務を負っているといえます。

  4. (4)相手方が調停や審判で決まった内容を守らない場合

    相手が調停や審判の内容に従わない場合には、強制執行することも可能です。ただし、強制執行といっても、子どもを無理やり連れ出して会わせるというわけにはいきません。監護親が調停・審判に違反して面談交流に応じなければ、監護親に制裁としてお金を支払わせるという命令を裁判所に出してもらう「間接強制」というものになります。

    もっとも、間接強制をするためには、調停や審判の内容が、監護親にその違反があるかないかが明確に判断できるようなものとなっている必要があります。この点、平成25年3月28日に、最高裁は、以下のように述べて、どのような場合に間接強制ができるかの判断基準を示しました(この事例では審判に基づく間接強制が問題となりましたが、調停でも同様の基準があてはまると考えられます)。

    「監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において、面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は、上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。」

    とはいえ、具体的にどのような内容であれば間接強制ができるのかは、専門的な検討・判断を要することも多いので、弁護士などの法律専門家にご相談されることをおすすめします。

6、面会交流を弁護士に依頼するメリット

面会交流を弁護士に依頼するメリット

面会交流話し合いや調停・審判を行うにあたっては、弁護士に代理人を依頼することもできます。
弁護士に依頼すると、以下のようなメリットが期待できます。

  1. (1)希望が通るように説得的な主張をしてもらえる

    面会交流の話し合いや調停をするときには、できるかぎり自分の希望する内容での取り決めをするため、その内容が子どものためにも望ましいといった点につき説得的に主張をする必要があります。そのため、弁護士は、専門的な法律知識や経験に照らして、できるかぎり説得的な主張ができるよう尽力します。これによって、説得的な主張をすることによって、相手方を納得させることができたり、調停委員が自分の希望に沿った形で話を進めてくれようとしたり、肩入れしてもらえると、話し合いが楽になります。

  2. (2)作業や手続きを任せられる

    話し合いによって取り決めた内容について書面を作成することが望ましいでしょうし、調停や審判においては、申立書などの書類作成や家庭裁判所との連絡など、いろいろな作業が必要になります。調査官による報告書を謄写する手続きなどが必要になる場合もあります。
    弁護士に依頼した場合、こうした作業や手続きを任せることによって、ご自身の負担を軽減することが期待できます。

  3. (3)合意や実現がしやすい案を考えられる

    当事者同士が話し合いや調停をすると、別居や離婚をした(元)夫婦という関係ですので、相手に対する怒りや不信感などから、互いに言い分が強硬になってしまい、譲り合うことがなかなかできないという状況が起こりがちであるといえます。その結果、話が平行線になって、いつまでたっても面会が実現しないという事態に陥ってしまう恐れがあります。

    この点、弁護士を代理人としてつけることにより、子どもや(元)夫婦の互いの状況や、様々な事例等を踏まえて、合意や実現がしやすい案を考え、これを相手や裁判所に提示することにより、早期に面会交流の合意や実現がしやすくなることが期待できるといえるでしょう。

7、面会交流を弁護士に依頼するデメリット

面会交流を弁護士に依頼するデメリット

面会交流を弁護士に依頼するデメリットは、弁護士費用がかかるということでしょう。逆に、他に大きなデメリットはないと考えられますし、費用についても依頼する弁護士によって金額や支払方法は異なります。ですから、まずは早めに弁護士に相談に行って、費用面も含めた話を聞き、依頼を検討することをお勧めします。

8、面会交流調停にかかる費用

面会交流調停にかかる費用

たとえば、代理人をつけて面会交流調停を起こすときには、以下のような費用がかかります。

  • 申立ての際の印紙代
  • 郵便切手
  • 弁護士費用

印紙代は、1件1200円です。子どもが2人いたら、2400円になります。郵便切手代は、各地の裁判所にもよりますが、数千円程度です。

そのほかの費用として、弁護士に依頼すると、法律相談料と着手金、報酬金が発生します。
法律相談料は初回から費用が発生する事務所もありますが、ベリーベスト法律事務所では、初回60分無料(※一部有料あり)とさせていただいています。ベリーベスト法律事務所にご依頼いただいた場合の費用は、こちらのページで詳しくご紹介しておりますので、ご確認ください。

9、まとめ

まとめ

以上のように、面会交流は親子間に認められた重要な権利ですから、別居や離婚の後、子どもと会えていないのであれば、子どもの福祉に反しない範囲で早期に実現すべきものといえるでしょう。そして、面会交流について、適切な内容の取り決めをし、早期に実現するためには、弁護士に対応を依頼した方がよい場合が少なくないでしょう。
ベリーベスト法律事務所では、ご相談者様に親身になってご事情をお伺いし、面会交流を実現する最善の方法について、アドバイスいたします。そして、ご依頼を受けた場合には、依頼者様の希望する面会交流を早期に実現すべく、最大限尽力します。大切なお子様との面会交流を実現できるよう、是非ともお早めにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています