ゲーム依存を理由に離婚できる? 条件や手順について弁護士が解説
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平成30年、世界保健機関(WHO)はオンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を新たな疾病として認定したと発表しました。
趣味の範囲でゲームを楽しむ分には問題はありませんが、ゲームに依存してしまうと家庭や仕事に支障をきたしてしまいます。
なかには、ゲームに依存している夫や妻との離婚を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、夫や妻のゲーム依存を理由に離婚は可能か、大阪オフィスの弁護士が解説していきます。
1、ゲーム依存で離婚をする夫婦は少なくない
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(1)ゲーム依存は病気
WHO(世界保健機関)は、いわゆるゲーム依存を「ゲーム傷害」として、国際疾病に認定しました。WHOによれば、ゲーム傷害になると、朝起きることができない、人や物にあたるなどの問題が現れるとのことです。スマートフォンなどの普及でゲーム依存の問題が深刻化していることから、健康を害する懸念は国際的にも強まっていることがわかります。
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(2)ゲーム依存が夫婦関係に支障をきたすケース
ゲーム依存が深刻化してしまうと、仕事や家事など夫婦生活に様々な問題が生じる可能性があります。
配偶者が長時間にわたってゲームに熱中してしまうと、夫婦間のコミュニケーションが減る原因となります。また、オンラインゲームで高額な課金を繰り返している場合、家計に影響が出てしまう可能性もあります。
このように、配偶者が生活の大半をゲームに費やし、家庭を顧みない状態だからと離婚を考える方もいらっしゃるでしょう。
2、ゲーム依存を理由に離婚は可能か?
では、配偶者のゲーム依存は離婚の原因として認められるのでしょうか。
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(1)夫婦の合意がなければ原則として離婚は成立しない
基本的に、離婚は夫婦間の合意が得られなければ成立しません。そのため、夫婦の一方のみがゲーム依存を理由に離婚を望んでいる場合は、もう一方の配偶者の合意を得る必要があります。
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(2)法定離婚事由に該当すれば合意がなくても離婚ができる
しかし、民法に定められている法定離婚事由に該当する場合は、夫婦の一方が離婚を望んでいなくても離婚が認められます。
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができます。- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
ゲーム依存は直接的な離婚理由にはなりません。しかし、夫婦にはお互い協力して結婚生活を送る義務があります。その義務を放棄して、仕事や家事をまったくせずにゲーム三昧の生活をしていたり、生活費をゲームの課金に充てたりしている場合は、法定離婚事由となるケースもあり得ます。
ゲーム依存が原因で離婚を検討している方は、協力して夫婦生活を送る義務を配偶者が放棄している証拠として、ゲームへの課金の金額やプレイ時間などを記録しておきましょう。
3、ゲーム依存を理由に離婚する場合の手順
配偶者のゲーム依存により離婚したい場合は、どのような手順ですすめていけばよいのでしょうか。順番に解説していきましょう。
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(1)協議離婚
協議離婚とは、夫婦二人での話し合いによって離婚の成立を目指す方法です。ゲーム依存を理由に離婚を切り出す場合は、ゲームがどれだけ夫婦の生活に支障をきたしたかを相手に理解してもらう必要があります。感情的にならず冷静に話し合いを進めましょう。
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(2)離婚調停
話し合いによる離婚協議で成立しなかった場合、離婚調停へ進むことができます。離婚調停では、裁判所の調停委員の仲裁のもと、夫婦間で離婚の話し合いを行っていきます。ここで大切なのは、第三者からみてゲーム依存が離婚の原因として認められるための証拠です。配偶者がゲームに課金した記録や、プレイ時間などの判断材料を準備しておきましょう。
夫婦同士の合意が成立したら、裁判所が調停調書を作成して手続きは終了となります。 -
(3)離婚裁判
離婚調停での話し合いでも双方の合意が成立しない場合は、離婚裁判に進むことができます。離婚裁判では、法定離婚事由に該当するか否かがポイントになります。
前述のように、配偶者のゲーム依存がどれほど夫婦生活に支障をきたしたか、法定離婚事由となり得るかどうかを証拠とともに判断されます。
離婚裁判は、おおよそ1~2年ほど期間が必要となります。なるべく早期に解決するためにも、弁護士などから専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
4、離婚問題を弁護士に相談するメリット
ゲーム依存が離婚の原因になるか分からず、弁護士に相談すべきかお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
離婚問題を弁護士に相談すれば、次のようなメリットがあります。
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(1)離婚を有利に進められる
ゲーム依存の配偶者と離婚したい場合、ご自身のケースが法定離婚事由にあたるのかを判断する必要があります。また、裁判時に有効となる証拠の集め方などを把握しておくことも大切です。弁護士に相談すれば、状況に応じた適切なアドバイスを受けることができ、離婚の交渉を有利に進められます。
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(2)代理人として交渉してもらえる
離婚を成立させるためには、配偶者との交渉が欠かせません。また、調停や訴訟にすすんだ場合は裁判所への出頭や手続きも必要となります。
弁護士に依頼すれば、交渉や調停・訴訟の代理人にもなってもらうことができます。
離婚問題についての夫婦間の話し合いでは、ついつい感情的になりがちです。また、離婚を考えている相手との直接的な話し合いは精神的にも大きなストレスになります。このようなときに、弁護士が代理人となって配偶者との話し合いや交渉を行うことでストレスを軽減させることができます。弁護士が交渉の代理人になり、ゲーム依存による家庭への支障や精神的苦痛を客観的に伝えることで、相手も冷静に離婚問題に取り組める可能性が高まります。 -
(3)労力を軽減できる
離婚問題を解決するためには、想像以上に莫大な労力が必要となります。特に、調停や訴訟にすすんだ場合は、申立書や訴状の作成や、証拠を整えて裁判所に提出する必要があります。弁護士に依頼することで、必要書類の作成や手続きを任せられます。また、ゲーム依存が法定離婚事由に該当すると証明するために、有力となる証拠を集めてくれるでしょう。離婚問題をスムーズに決着させることが期待できます。
5、まとめ
配偶者がゲーム依存というだけでは、直接的な離婚理由になりません。しかし、ゲーム依存の状況によっては、法定離婚事由に該当し、離婚が成立するケースもあります。
配偶者のゲーム依存が離婚の原因となり得るか分からずお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士にお気軽にご相談ください。弁護士があなたに代わって、離婚の交渉を進めます。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています