夫の浮気(不倫)が発覚! 離婚する前に考えるべきこととは?
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夫の浮気が発覚した時、怒りや悲しみで「離婚したい…」と考えるのは当然のこと。ただ、闇雲に夫に離婚届けを突き出すと、後で後悔することも多いです。
離婚する前に考えるべきことと、離婚する場合、慰謝料請求や財産分与、子供のことなど気を付けておきたいポイントを弁護士が解説いたします。
1、何も決めずに離婚届を出すと後悔する理由とは?
長く連れ添ってきた夫が浮気(不倫)をしていた! ということに気づいてしまえば、当然平気ではいられません。浮気(不倫)は夫婦関係だけでなく、親子の関係までをもめちゃくちゃに壊してしまうものです。何よりも、自分が信じ切り、愛し、ともに家庭を築いてきた相手に裏切られるということは、言葉では言い表しづらいほどのショックでしょう。
このような裏切りにさらされた場合、当然のことながら、「一刻も早く離婚したい!」と思う人も多いでしょう。夫婦関係を解消し、まったくの「無関係な人」になり、新しい人生を始めたいと考えるはずです。
浮気(不倫)をした配偶者が何を言っても、それが本当のことなのかわからなくなりますし、「また裏切られるかもしれない」と疑心暗鬼になってしまうよりは、さっぱりと別れて次にいった方がよい場合も多いでしょう。
しかし、「離婚したい!」と思っても、「とにかく離婚をすること」を優先してしまうと、後々になって後悔しかねません。焦って離婚した結果、後悔する可能性が高いポイントについて紹介します。
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(1)慰謝料や今後の生活費など金銭面で後悔する
何も決めずに、その場の勢いだけで離婚してしまうと、不倫に対する慰謝料や、子供の養育費、今後の生活費など、本来はもらえるべきお金をもらわずに離婚にいたってしまうこともあるからです。
離婚する前に、しっかりと金銭面の条件について話し合いを行い、お互いのサインが入った離婚協議書を作成しておくと、後々不利な状況に陥らずに済みます。 -
(2)子供の親権で後悔する
夫婦間に子供がいる場合、どちらが子供の親権者となるのかという問題は非常に重要となります。
親権は、今後の双方の経済状況等も踏まえながら決めていくこととなりますが、最終的には「子供の意思」が尊重されます。できるかぎり、子供の意思を確認してあげましょう。
焦って離婚を決めた結果、両親の離婚で子供が精神的な傷を負わないように、きちんと親権に関しても夫婦で話し合いをすることが大切です。 -
(3)なかなか仕事が決まらずに後悔する
もし、結婚をきっかけに仕事を辞めているのであれば、離婚後の就職についても検討しておく必要があります。夫婦間に子供がいて、あなたが親権者となるのであれば、特に勤務時間など離婚後の働き方にも注意が必要です。
「勢いで離婚したけど、働き口がなかなか見つからない…」といったことにならないよう、事前に、以下のような就業支援の活用を検討しておくのも良いと思います。- マザーズハローワーク
- 自立支援教育訓練給付金
- 高等職業訓練促進給付金、高等職業訓練修了支援給付金
- 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
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(4)離婚後の居宅について後悔する
離婚する際に、妻が住宅を譲り受けるケースは多くありますが、そのまま住み続ける場合のローンや家賃、維持費などについても検討していく必要があります。
もし、新しい土地で生活をスタートしたいのであれば、住む場所、初期費用、今後かかる家賃についても、事前に確認しておくとベストです。子供がいる場合、転校する必要がありますので、転校に必要な手続きも確認しましょう。
何も決めずに離婚してしまうと、離婚後にかかる経費で苦労する可能性が高くなりますので、落ち着いて今後の生活の見通しを立てる必要があります。
2、慰謝料を請求するときのポイントとは?~慰謝料請求のパターンについて
浮気(不倫)のときに発生する「慰謝料」の請求方法としては、以下の3パターンがあります。
①浮気をした夫Aに対してのみ、妻Bから慰謝料を請求する
②夫Aの浮気相手である浮気相手Cに対してのみ、妻Bから慰謝料を請求する
③夫Aと浮気相手Cの双方に対して、妻Bから慰謝料を請求する
ちなみに、どの方法を選ぶかは、有責ではない配偶者の判断にゆだねられます。極端な話、まったく慰謝料を請求しない、という選択肢をとることも可能です。
また、すでに、周りから見ても明らかなほどに「婚姻関係の破たん」があった場合、慰謝料の請求が認められない可能性もあります。もっとも、この「婚姻関係がすでに破たんしていた」と認められるケースは非常に限定的です。
まず、別居をしていることが非常に重要な判断材料になってきます。たとえば、「数十年にわたり別居しており、かつ別居を解消したことがない」というような場合は「婚姻関係は破たんしていた」と認められる可能性が極めて高いと言えます。ちなみに、「婚姻関係は破たんしていた」と認定される期間の目安となるのは、「5年程度」と考えられます。
ただし、この別居が、何かの理由(たとえば仕事上、片方が単身赴任をしていたなど)によるものの場合は、たとえ5年以上別居していたとしても、「婚姻関係がすでに破たんしていた」とは考えられないと思われます。
また、すでに夫婦間で離婚の話し合いをしており、そしてこれが具体性を帯びていたということであれば、やはり慰謝料の請求は通りにくくなります。
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(1)配偶者にのみ請求する場合
「不倫相手には興味がない、自分の配偶者に裏切られたことが許せない」という場合はこのかたちをとることになるでしょう。
また、独身である不倫相手が、「結婚していることにはまったく気づかなかった。独身だと信じていたから、付き合っていたのに。結婚の約束もしたし、指輪の交換もした。メールなどでも完全にだまされていた」というような場合は、不倫相手に対しては慰謝料を請求できない可能性が高いため、必然的に、妻は有責配偶者である夫に対してのみ慰謝料の請求を行うことになります。不倫相手は、不法行為だと気づかずに浮気をしていたことになるため、その責任を追及することは困難なのです。
「親しく付き合っていたのに、相手が結婚していることにも気づかないなんて、そんなことはあるはずがない」と思う人もいるかもしれません。
しかし有責配偶者である夫がまだ年が若くてとても結婚しているようには見えない年齢であったり、普段から結婚指輪をまったく付けていなかったり、頻繁に旅行などに行っていたりした場合など、既婚者だと疑うことは難しいケースもあります。非常に悪質な場合、不倫相手の両親に挨拶をしに行ったというケースもあります。 -
(2)不倫相手にのみ請求する場合
妻から浮気相手に対してのみ慰謝料を請求する場合です。
たとえば、「離婚をしようと思っていたが、やはり再構築の道を選んだ」「自分に落ち度がなかったわけではないから、配偶者の過ちについては罰を与えない」というケースでは、このような判断になることもあります。
上では、「婚姻関係が破たんしていた場合」については、慰謝料が発生しないこともある、という話をしました。本ケースでは、浮気相手の方に、「婚姻関係が破たんしていたことを示す証拠」の提出が求められます。確固たる証拠を浮気相手が持っていない場合、慰謝料の請求が認められる可能性が高いです。 -
(3)配偶者と不倫相手両方に対して請求する場合
これは、浮気(不倫)をした配偶者とその相手、双方に対して請求をかけるものです。
ただ注意してほしいのは、このときは、「浮気(不倫)をした配偶者とその相手が、共同して慰謝料を払っていく」という形態になることです。このため、仮に慰謝料総額が300万円とされるケースで、「すでに夫から100万円の慰謝料をもらっていた」というような場合は、その後でもらえる金額が減額され、200万円のみの慰謝料請求となります。
3、慰謝料の算出方法の基準について
よく、「慰謝料の相場はどれくらいか」ということが話題に上がります。しかし実は慰謝料というのは、一元的な算出方法で求められるものではありません。
たとえば、子ども(特にまだ独立していない場合)がいたり、浮気(不倫)発覚の後に経済的DV(食費を渡さないなど)を受けていたり、体調を著しく崩したり、浮気(不倫)が長期に及んでいたりする場合は、それだけ慰謝料も高くなる傾向にあります。
大切なのは、自分だけで悩むのではなく、弁護士に相談をすることです。弁護士の力によって、できるかぎり相手の有責材料を積み重ね、高額の慰謝料を獲得できる可能性が上がります。
4、子どもの権利について
もう1つ、離婚問題において非常に重要になってくるのが、「親権」と「養育費」という、「子ども」に関わるものです。
親権については、母親に与えられるケースが圧倒的多数です。
夫は妻と比較して、育児実績に乏しく、また多くのケースはフルタイムで働いています。このため、十分に育児ができないという問題があるからです。場合によっては、妻が浮気(不倫)をしても、妻側に親権が渡る場合もあります。
もちろん子どもが、「自分はお父さんと一緒にいたい」などのように明確な意思表示をした場合は、その限りではありません。
ただ、被害者である妻が親権を確実にとりたいと考える場合にせよ、不利ではあるものの有責配偶者である夫が親権をとりたいと考える場合にせよ、1人だけで戦うのは困難です。この場合も、弁護士の力が非常に役立ちます。
5、養育費について
「慰謝料」は浮気された人が受け取ることのできるものですが、「養育費」はまた意味が異なります。これは「子どものためのお金」であり、「慰謝料はもらわなかったけれど、養育費はもらう」というようなことももちろん可能です。
養育費は、養育費を払う側の年収が高くなれば養育費も高くなり、逆に年収が低ければ低くなる傾向にあります。これには明確な算定表があります。
ただ、算定表という目安はあるものの、ある程度バラツキがあるのも事実です。弁護士の力を借りることによって、より確実に、より適正金額の養育費を得ることができるようになります。
6、財産分与について
最後に、「財産分与」について見ていきましょう。
結婚後2人で積み重ねた財産は、離婚時に「分ける対象」になります。有責者であっても、この「財産分与によって生じる財産」を受け取る権利はあります。
「慰謝料を払わない、あるいは減額してもらう代わりに財産分与を放棄する」、という場合もあります。
ただ、いずれにせよ、財産が不動産関係(たとえば家など)だけしかない場合は、その分配でもめる可能性が大きくなります。
そんなときにも、弁護士は強い味方となります。トラブルを解消し、物事を整理し、依頼人の利益を守るために活動します。
まとめ
「浮気(不倫)された側」は、非常に大きなショックを受けるものです。しかしできるだけ冷静になり、法律事務所の扉をたたいてください。その選択肢が、「後悔しない離婚」に繋がるはずです。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています