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残業代が30分単位で支給されているけど、切り捨てられた残業代はどうなるの?

2023年01月12日
  • 残業代請求
  • 残業代
  • 30分
  • 大阪
残業代が30分単位で支給されているけど、切り捨てられた残業代はどうなるの?

令和3年度の大阪労働局の統計年報によると賃金不払件数は850件でした。不払いの中には、賃金はもちろん残業代も含まれていたことでしょう。

残業代は働いた分だけ支払ってもらえるのが原則ですが、会社によっては30分単位で残業時間が切り捨てられていることがあります。比較する機会はほとんどなく気づきにくいのですが、実は、会社によっては15分単位だったり5分単位だったりとバラバラです。

本コラムでは果たして残業代を30分で切り捨てることは違法なのか、仮に違法だとしたらどのように残業代請求することができるのかについて、大阪オフィスの弁護士が解説します。

1、残業代は全額払われるのが基本

残業代は残業時間に基づいて計算されます。もし、30分単位や15分単位で切り捨てられているということは本来支払われるはずの残業代をごまかしていると言えます。

労働基準法第24条には「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」とありますから、基本的には残業代もその決まりに沿って支払われます。これを賃金全額払いの原則といいます。

  1. (1)毎日30分切り捨てることは違法

    毎日30分単位で残業時間の切り捨てが行われているのであれば、それは間違いなく違法です。これは賃金全額払いの原則に反しますし、割増賃金について定められた労働基準法第37条にも勝手に端数処理をして良いという内容はありません。

    したがって毎日の残業時間を30分単位で切り捨てられても、切り捨てられた残業代を請求する権利は残ります。

  2. (2)残業時間は分単位で計算される

    残業時間は分単位の計算が基準です。これは労働時間に基づいて給与が支払われる形態であればどれも同じで、時給で働くアルバイトの給与計算もこの原則に基づきます。

    よって毎日の残業時間が15分単位や5分単位で切り捨てられている場合も違法です。

    そもそも「端数処理」の名の下に企業が労働時間を自由に切り捨てられるとしたら、労働者にとって著しい不利益が生じます。たとえば30分単位の切り捨てを制度として定めている会社の場合、29分59秒の勤務日が2日続くとそれだけでほぼ1時間分の残業代を損します。

    もし、1時間単位の切り捨てが行われている会社があったら……と考えると恐ろしい話です。

  3. (3)深夜割増も支払われる

    残業時間に支払われる割増賃金は時間外割増だけと限りません。深夜22時から翌朝5時の間に働いた場合は深夜割増が支払われます。

  4. (4)毎日30分切り上げは適法

    時間外労働の終業を30分単位で切り捨てることが違法である理由は労働者の不利益になるからです。ということは労働者の利益になる30分単位の切り上げは適法です。

    端数の切り上げは企業がどのように決めても賃金全額払いの原則が満たされるので問題ないのです。
    逆に始業時間の端数切り上げは労働者の不利益となるため違法で、端数切り捨てが適法となります。

2、認められているのは「月」の残業時間を「30分単位」で「四捨五入」

労働時間は1分単位、残業代は1円単位の計算が原則です。

しかし昭和63年の厚生労働省通達では以下の場合のみ「事務簡便を目的」に違法と取り扱わないとされています。

  • 1ヶ月における時間外労働、休日労働および深夜労働のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数があれば30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げる
  • 1時間あたりの賃金や割増賃金に1円未満の端数があれば50銭未満を切り捨て、50銭以上を切り上げる
  • 割増賃金の総額に1円未満の端数があればこちらも50銭未満を切り捨て、50銭以上を切り上げる

この決まりを曲解して毎日30分単位で残業代を切り捨てる会社に対しては、しっかり反論できると良いかもしれません。なお、細かいですが給与も1円未満を全て切り捨てるのは適法と言えません。

  1. (1)端数処理できるのは月の残業時間

    まず、端数を処理できるのは1ヶ月残業した時間の合計です。それも、時間外労働、休日労働および深夜労働のそれぞれの時間数を合計したものに対して行うのが原則です。

    よって毎日の残業代について1分以上の端数を処理することはできず、「休日労働だけは30分単位で切り捨て」ということも許されません。

  2. (2)1時間を基準とした四捨五入は適法

    この通達を見ると月の残業時間に対して30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げとなっています。つまり1時間を基準とした四捨五入が認められています。

    ということは、たとえ月の残業時間について端数処理をしている場合でも30分以上を切り捨てている場合は違法です。

3、30分ごとに切り捨てられた残業代はどう請求する?

30分単位で残業時間を計算した結果切り捨てられた残業代は、会社に請求することができます。諦めずに行動しましょう。

  1. (1)残業代の請求は弁護士に相談を

    残業代のお悩みはひとりで抱え込まずに適切な相談先を見つけましょう。

    残業代についての指導を求めるだけなら労働基準監督署へ、実際に残業代請求をするとなれば弁護士への相談が望ましいでしょう。

    労働基準監督署は労働基準法を守るように会社を指導し、労働保険を給付する役割を持つ機関で各都道府県に設置されています。労働基準監督署へ相談するメリットはお金がかからないことと、会社全体の問題解決がされる可能性があることです。しかし、労働基準監督署ができるのは調査と業務改善指導までで残業代の支払いを命じることは業務の範囲外です。

    そのため残業代請求については、弁護士への相談をおすすめします。

    弁護士は、労務を専門とする社会保険労務士と異なり、会社との任意交渉や労働審判手続、訴訟の代理をすることが可能です。つまり残業代請求に必要なことを一挙に引き受けることができます。

    なお、書類作成や助言、労働紛争への立ち会いであれば、社会保険労務士や司法書士でも可能です。

  2. (2)未払い賃金の請求は2年前まで

    未払い賃金の請求は2年で消滅時効が到来してしまいます。よって、2年前までのものしか請求できません。今、残業代請求をするべきかと迷っている間にも給与の支払日が来れば、そのちょうど2年前の残業代を請求できなくなるので時効を止めるための催告だけでも早めに行いましょう。

    催告の効果を認められるものとしては内容証明郵便が一般的です。催告をすると時効を6ヶ月だけ延ばすことが可能です。

  3. (3)残業代請求の簡単な流れを紹介

    残業代請求は借金や売掛金の請求と同じく債権額を計算し、書面によって行います。それでも会社側が支払いに応じないときは話し合いでの解決を試みます。それも受け入れられないとすれば労働審判や訴訟で決着をつけるほかなくなります。

    多くの場合は訴訟で判決が出る前に解決しますが法的に曖昧なケース、難しい事情が絡んでいるケースはそうと限りません。

    経験豊富な弁護士は依頼者の負担を減らせるよう早期段階での解決に努めます。不要な争いを防ぐ交渉スキルも弁護士にとって必要な力です。

  4. (4)在職中の方が証拠を集めやすい

    残業代の請求にあたってはその根拠が大切です。残業代を割増賃金や遅延損害金を含め正しく計算し、その時間を証明できるような証拠があると望ましいです。勤怠記録がわかるものといえばタイムカードですが、30分ごとの端数処理をされている場合は正確な勤怠記録がないかもしれません。そのような場合は日報や書類のタイムスタンプ、メール履歴など明確に何時何分に何をしたのかわかるものが証拠として有利に働きます。

    残業代は退職後に請求することも可能ですが、証拠の見つけやすさを考えれば在職中に証拠を集め、残業代請求を行うと良いといえるでしょう。

  5. (5)残業を命令していないと言われたら?

    30分単位の残業についてその違法性を主張したとき、会社から「30分単位で残業時間をこちらから設定している。それ以上の残業は禁止している」と言われることもあるかもしれません。たしかに残業時間に算定されるのは会社から強制された分だけですが、その時間以内に仕事が終わらないからといって残業代がカットされることはありません。

    終業間近に発生した1~2分のオーバーもきっちり計算されます。

    仮に残業が禁止されていたとしても、残業しないと終わらない仕事量を振られていた場合は黙示の残業命令があったと認められる場合があります。そのくらい残業代の支払いでは、強く労働者の権利保護がなされています。

4、まとめ

30分切り捨て、15分切り捨てという「残業代を勝手に減らす」決まりが会社独自のルールとして認められることはありません。切り捨てられた残業代は分単位でしっかり計算し、割増賃金および遅延損害金とともに会社へ請求しましょう。切り捨てられた時間数によっては驚くような未払い残業代になることもあります。

もし、残業代請求の勇気が出ない、残業代計算ができずに困っているようでしたらベリーベスト法律事務所 大阪オフィスまででご相談ください。経験豊富な弁護士があなたの正当な権利を守る力になります。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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