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有給休暇の取得理由を聞くのは違法? 拒否された際の対処方法

2023年01月12日
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有給休暇の取得理由を聞くのは違法? 拒否された際の対処方法

厚生労働省が令和4年10月に発表した統計によると、令和3年の年次有給休暇の平均取得日数は、労働者一人当たり10.1日でした。中でも最も有給取得が多かったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の14.3日、対して最も少なかったのは「宿泊業,飲食サービス業」の7.3日という結果でした。

また、令和2年度「大阪府労働関係調査報告書」によると、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響(複数回答可)として、「有給休暇の取得促進(有給休暇の計画的一斉付与を含む)」と回答した会社が10.1%にのぼるなど、大阪府内では、有給休暇取得を積極的に促進する会社が増えてきているようです。

しかしながら、労働者が有給休暇の取得を申請する際に、会社側や上司(使用者)が取得を妨害するケースもあります。しかし、労働者の有給休暇は法律で労働者の権利として認められているものです。使用者は正当な理由を除き、労働者の有給休暇の取得申請を拒否することはできません、

それでは、有給休暇の取得理由を、尋ねる行為は違法になるのでしょうか。今回は、有給休暇取得の理由を聞くことの違法性や取得を拒否された場合の対処法についてベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士が解説していきます。

1、有給休暇の定義や付与日数とは? 有給休暇の基本を解説

まずは、有給休暇の定義や法律上の位置づけや付与される日数について、確認していきましょう。

  1. (1)有給休暇とは

    有給休暇は正式には、年次有給休暇といい、会社によっては、年休や有休、年次休暇と呼ばれることもあります。

    有給休暇は、休んでいる期間も会社から賃金が支払われる休暇日です。労働者は条件を満たせば、毎年一定日数の有給休暇が与えられます。正社員だけではなくパートタイム労働者やアルバイト労働者であっても、条件を満たせば年次有給休暇は付与されるのです。

    また、平成31年4月1日の改正労働基準法施行により、年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対して、5日間の有給休暇を取得させることが、「会社の義務」となりました。この義務の場合、使用者が労働者の希望を聞いたうえで、有給休暇の取得時期を指定する(時季指定)ことになります。

  2. (2)有給休暇は法定休暇

    労働者の休暇は「法定休暇」と「法定外休暇」の2種類に分かれています。法定休暇は、使用者が必ず労働者に与えることが法律的に義務付けられている休暇のことです。法定休暇の場合、労働者が請求すれば必ず認めなければならないとされています。

    一方で法定外休暇は、法律に規定されているわけではないものの、使用者が労働者に付与している休暇のことをいいます。たとえば、労働基準法で規定された日数よりも多く付与される有給休暇や慶忌休暇などが該当します。

    休暇について定められている法律と法定休暇は以下のとおりです。

    ●労働基準法によって規定されている法定休暇

    • 年次有給休暇
    • 産前休業
    • 産後休業
    • 公民権行使の時間保障


    ●男女雇用機会均等法によって規定されている法定休暇

    • 母性健康管理のための休暇


    ●育児・介護休業法によって規定されている法定休暇

    • 育児休業
    • 生理休暇
    • 育児休業
    • 育児時間
    • 子どもの看護休暇
    • 介護休業
    • 介護休暇

  3. (3)有給休暇の付与日数

    有給休暇の付与日数は、最大20日を限度として労働者が継続勤務(全労働日の8割以上出勤)した期間に応じて加算されます。たとえば、週所定労働時間が30時間以上、あるいは週所定労働日数が5日以上の労働者の場合は以下のとおりです。

    • 勤続年数6か月:付与日数 10日
    • 勤続年数1年6か月:付与日数 11日
    • 勤続年数2年6か月:付与日数 12日
    • 勤続年数3年6か月:付与日数 14日
    • 勤続年数4年6か月:付与日数 16日
    • 勤続年数5年6か月:付与日数 18日
    • 勤続年数6年6か月:付与日数 20日

    なお、有給休暇の請求権は、付与されてから2年で消滅(労働基準法115条)してしまうため、注意が必要です。

2、有給休暇の取得理由を聞くことは違法になる?

それでは、使用者が労働者に対して有給休暇の取得理由を尋ねる行為は違法になるのでしょうか。

  1. (1)有給休暇の取得理由を聞くこと自体は違法ではない

    労働者が有給休暇を取得する際に、使用者が理由を聞くことは明確な違法行為とはいえません。しかしながら、労働者が理由を答えたくないと言っているにもかかわらず、執拗に理由を聞くことは、ハラスメントに該当する可能性はあります。

    ハラスメントは、民法上の不法行為といえますので、ハラスメントの度合いによっては損害賠償を請求できるかもしれません。

  2. (2)有給休暇取得の理由を言わなければ有給休暇を取得できない場合は違法

    労働基準法39条1項では、単に「有給休暇を与えなければならない」とされ、有給休暇取得の理由があることは要件になっていません。したがって、有給休暇取得に理由は要りません。

    使用者が理由を尋ねること自体は違法ではありませんが、「有給休暇を取得する理由を会社に告げない労働者には、有給休暇を取得させない」という措置は労働基準法に違反します。

    前述のとおり、有給休暇の取得は労働者の権利であるため、原則として、使用者は取得を拒否することはできません。

  3. (3)有給休暇の取得理由を申請する際に労働者がうそをついたらどうなるのか

    本来であれば労働者が使用者に対して取得理由を伝える義務はありません。有給休暇を取得する理由については「私用」と告げるだけで十分です。

    そのため、有給休暇の取得理由として、使用者に対してうそを告げたとしても、違法にはなりません。

3、有給休暇について、会社の対応が違法になるケース

次に、有給休暇に関して、使用者の対応が違法となりうるケースを解説します。

  1. (1)有給休暇の取得を阻止すると違法

    先ほどからお伝えしているとおり、労働者の有給休暇の消化を阻止することは、労働基準法違反となります。有給休暇の取得を拒んだ場合の罰則は、「使用者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑」です。

  2. (2)年に5日の有給休暇を取得させなかった場合は違法

    平成31年4月1日から改正労働基準法39条7項が施行され、労働者に、年5日の有給休暇を取得させることは、使用者の義務となっています。会社が労働者に対して、年5日の有給休暇を取得させなかった場合の罰則、「30万円以下の罰金」が科せられます。

  3. (3)有給休暇の買い取りは違法

    労働者が取得しなかった有給休暇について、会社が対価を支払い買い取ることは、原則として違法です。ただし、以下のケースでは買い取りが認められます。

    • 2年で消化できなかったもの
    • 退職前に消化できなかったもの
    • 法定以上の有給休暇日数

    なお、これらのケースにおいても有給休暇の買い取りが会社に義務付けられているわけではありません。就業規則などを確認してみましょう。

4、有給休暇の取得を拒否されたら?

最後に使用者が、有給休暇の取得を拒否した場合の対処法を解説します。

  1. (1)使用者には時季変更権がある

    まず、使用者が正当な権利を行使して、有給休暇の取得を拒否している可能性を考えてみましょう。

    使用者は、労働者の有給休暇取得を拒むことはできませんが、取得時期を変更させることはできます。これを、有給休暇の時季変更権といいます。

    労働基準法では時季変更権について、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」と規定しています。

    労働者が有給休暇を取得してしまうと事業に多大なる影響が出る場合、使用者は労働者に対して有給休暇の取得日を変更する相談を持ち掛けることができるのです。たとえば、業務に支障をきたすほどの多数の労働者が、同日に有給休暇を申請した場合、使用者は時季変更権を行使して、取得する日にちを変更できます。

  2. (2)有給休暇の取得を拒否されたら証拠を確保

    正当な理由なく会社から有給休暇の取得を拒否された場合は、拒否されたことがわかる証拠を確保しましょう。メールや社内チャットなどで申請を却下した場合はスクリーンショットで撮影する、印刷しておくなどして、証拠を集めてください。

  3. (3)有給休暇の取得を拒否された場合の相談先

    有給休暇の取得を拒否された場合は、ひとりで悩まずに労働組合や労働基準監督署、弁護士などに相談しましょう。

    ●労働組合
    勤務している会社に労働組合がある場合は、有給休暇を取得できない旨を相談してみましょう。会社に労働組合がない場合は、外部の合同労働組合に相談も可能です。労働組合は会社へ有給休暇を取得の申し入れや抗議をしてくれると期待できます。

    ●労働基準監督署
    各都道府県に設置されている労働基準監督署は、企業を監督する機関です。企業の違法性が認められると、労働基準監督署から企業に対して指導や勧告が行われます。労働基準監督署の指導勧告には強制する力はありませんが、指導などを受けて、会社が業務改善を行ってくれると期待できるでしょう。

    なお、労働基準監督署に相談する場合は、確かな証拠が必要となります。

    ●弁護士
    会社が有給休暇の取得を認めない場合は、弁護士に一任するのも有効な手段です。弁護士に対応を任せれば、会社との交渉を一手に引き受けてもらえます。また、有給休暇取得拒否以外にも残業代未払いやハラスメントなどの問題がある場合は、未払い賃金請求や慰謝料請求なども視野に入れて、相談・依頼してみてください。

5、まとめ

労働基準法の改正により一定の基準を満たした労働者に5日間の有給休暇を取得させることは、会社の義務となりました。

有給休暇の取得に関しては、上司や会社に取得理由の詳細を伝える義務はありません。しかし、理由を告げないことで、労働者がハラスメントを受けることも考えられます。

有給休暇の申請について困っている方はお気軽にベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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