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何歳まで必要? 法改正に伴う養育費の疑問に対し、弁護士が回答します

2020年02月07日
  • 離婚
  • 養育費
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  • 大阪
何歳まで必要? 法改正に伴う養育費の疑問に対し、弁護士が回答します

厚生労働省が行った「平成29年人口動態統計」では、大阪の1000人あたりの離婚組数が1.96組と、全国3位を記録しています。

離婚した夫婦に子どもがいる場合、離婚後に親権者(監護権者)となって子どもを育てる親に対し、相手は養育費を支払う義務があります。養育費については、子どもが成年となる20歳まで毎月一定額を支払うということが一般的といえるでしょう。

ところが、平成30年6月13日に民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立しました。この民法改正によって、成年年齢である20歳になるまでと決めていた養育費の支払いはどのようになってしまうのでしょうか。 今回は、法改正と養育費の支払期間との関係など、養育費に関するさまざまな疑問や注意点について、ベリーベスト法律事務所大阪オフィスの弁護士がお答えします。

1、養育費の法的根拠・決定方法

離婚をする際に未成年の子どもがいる場合は、離婚後の親権者を父又は母のどちらにするか決める必要があり、通常は親権者が子どもを監護(養育)します。子どもを監護する親を監護親といい、監護しない親を非監護親といいますが、非監護親は、子どもを養育するために必要なお金を支払わなければなりません。それが養育費です。

養育費は、民法766条(「子の監護に要する費用の分担」)などに基づいて請求・決定されることになりますが、その元になる根拠は民法877条の親子間の扶養義務にあります。そして、親の子どもに対する扶養義務は、親と同程度の生活を保障する義務(生活保持義務)であり、父母はそれぞれの資力に応じて子どもを養育する費用を負担する義務を負っていると考えられます。そのため、非監護親は、父母それぞれの資力に応じた養育費を支払う義務を負うことになるのです。

つまり、法律上、養育費は、監護親が非監護親に請求できるものではありますが、本質的には、子どもの生活を保障するために必要とされるお金なのです。

  1. (1)取り決めをしていない場合も請求権がある

    離婚の際には、養育費について取り決めを行うことが普通です。しかし、離婚を急いだときなど、養育費について明確な取り決めをしないまま離婚届を提出してしまったというケースもあるでしょう。このように養育費について明確な取り決めをしていなかった場合でも、非監護親に養育費を請求することは可能です。

    また、離婚時に、養育費は不要とする内容の取り決めをしたとしても、後になって請求することは妨げられないと考えられますし、そもそも、子どもは、親の取り決めに拘束されることなく、自ら、扶養義務(民法877)に基づく扶養料を請求することもできます(もっとも、未成年者は親権者が子を代理することになります)。

  2. (2)養育費の決め方

    養育費は、まず、父母間で話し合って決めることが考えられます。離婚と同時に決める場合もあれば、離婚後にあらためて養育費だけを決めることもあるでしょう。
    話合いで決まらない場合には、裁判所での調停で決めることが考えられます。離婚調停の中で親権や財産分与など他の離婚条件とあわせて養育費を決めることもできますし、養育費だけを決める調停もあります。
    調停でも決まらなかった場合には、裁判や審判という形で裁判官に判断してもらうことができます。

    話し合いで養育費を決める場合、金額をいくらにするかなどは基本的に当事者の自由ですが、裁判所は、養育費算定表という、双方の収入や子どもの年齢、人数などに応じて機械的に基準となる養育費を計算できる表を用いて、調停での話し合いを進めたり、裁判や審判で養育費を認定したりします。ただし、算定表では想定されていないような例外的な事情がある場合などには、算定表での基準とは異なる養育費が認められる可能性もあります。

    ベリーベスト法律事務所のサイトでは、簡易的に養育費の計算が行えるツールを用意しています。ぜひご活用ください。

    養育費計算ツール

    なお、一度決まった養育費でも、自身や相手の収入状況が大きく変動したときなどには増額や減額が認められる場合もあります。この場合も、話し合いで決まらなければ、裁判所の調停や審判を利用することができます。

2、何歳まで支払うのが一般的?

  1. (1)子どもが「未成熟」な間は養育費の支払が必要

    養育費の支払期間は法律で明確に規定されていませんが、一般的には、子どもが「未成熟」すなわち身体面・精神面・経済面から未だ就労が期待できず第三者による扶養を受ける必要のある状態である間は、養育費を支払う必要があると解釈されています。

    調停や審判では、通常、子どもが20歳未満であれば「未成熟」であるとして、20歳に達するまでの養育費の支払が取り決められることが多いといえます。もっとも、養育費を決めるときに、子どもが20歳未満であっても、働いて一人で生活できるだけの収入を得ているような場合には、養育費の支払は不要といえるでしょう。

    他方で、養育費を決めるときに、子どもが大学にすでに進学している又は進学が決定している場合には、子どもが大学を卒業する22歳3月までの養育費の支払が必要とされる可能性が高いと考えられます。

    このように、養育費の支払期間は法律で明確に規定されているわけではありませんので、父母間で養育費の支払期間を何歳までにするかを決めるときは、子どもの将来についてしっかりと考える必要があるでしょう。

  2. (2)民法改正による成年年齢引下げは改正前の取決めには影響しない

    平成30年6月13日に民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立しました。この民法改正によって、成年年齢である20歳になるまで支払うとされた養育費の取決めはどのようになってしまうのでしょうか。

    養育費の支払いを「20歳に達する月まで」などと明確に決めていれば、「20歳に達する月まで」養育費の支払義務があることについて、紛争になる心配はあまりないと思いますが、 「成年に達するまで」養育費を支払う旨の取決めがされている場合には、成年年齢の引下げに伴い、このような取決めがどうなるか心配になるかもしれません。

    しかしながら、前記のとおり、養育費は、子どもが成年かどうかではなく、あくまで「未成熟」である場合に支払われるものですので、成年年齢が引き下げられたからといって、養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。
    そして、成年年齢引下げの前に「成年に達するまで」との取決めがされている場合、その取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからすれば、取決め後に成年年齢が引き下げられたとしても、従前どおり20歳まで養育費の支払義務があると考えられます。
    もっとも、今後、新たに養育費に関する取決めをする場合には、「20歳に達する月まで」「22歳に達した後の3月まで」などという形で、明確に支払期間の終わりを定めることが望ましいでしょう。

3、養育費を決めるにあたっての注意点

  1. (1)養育費の金額について

    前述のとおり、養育費は、父母間の話合いで決めることができます。その際は、双方の収入を考慮しつつ、子どもの生活や将来のことを十分に考えて、金額を決めるべきでしょう。

    前述のとおり、話合いで決まらない場合には調停、調停でも決まらない場合には裁判や審判という裁判所での手続きをとることが考えられますが、裁判所は、養育費算定表という、双方の収入や子どもの年齢、人数などに応じて機械的に基準となる養育費を計算できる表を用いて、調停での話し合いを進めたり、裁判や審判で養育費を認定したりします。

    もっとも、算定表はあくまで一般的な目安・基準であり、算定表では想定されていないような例外的な事情がある場合などには、算定表での基準とは異なる養育費が認められる可能性もあるのですが、裁判所に対して、そのような事情を具体的に説明したり、証明したりする必要があります。

    また、自営業者や会社経営者などの場合、算定表を用いるにあたって基礎となる収入金額について、実際とは異なる税務申告や会計処理などによって、正しい収入金額が簡単には証明できない事態も起こりえます。
    そのため、裁判所での調停や裁判・審判を利用すれば算定表の基準に従うことになるといっても、実際に支払う養育費の金額がいくらになるのか、簡単に判断できない場合も少なくありません。
    ですので、支払う養育費の金額などについて、父母間で考えが一致しない(その可能性がある)ようであれば、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)取決めの文書化について

    養育費の金額や支払期間が決まったときには、口約束で済まさず文書に記録しておきましょう。その際は、「甲(父)は乙(母)に対して、丙(子)の養育費として、○年○月から丙が20歳に達する日の属する月まで、毎月○万円を毎月末日限り乙指定の口座(○○銀行…)に振り込む方法により支払う」といったように、支払期間や毎月の支払期限、支払金額などを明確にするようにしましょう。

    養育費を支払ってもらう立場であれば、単なる書面ではなく、「強制執行認諾条項」をつけた公正証書を作成できれば、なおよいといえます。

    上記の公正証書ではなく、口頭や単に当事者で作成した書面での取決めしかなかった場合、取り決めた内容どおりの養育費の支払いがなかったときには、調停や裁判などの手続きを経て「債務名義」を取得しなければ、強制執行の手続きをとることはできません。「債務名義」とは、取決め内容について強制執行できるようにするための裁判所の証明のようなものです。

    上記の公正証書を作成するメリットは、取り決めた内容どおりの支払いがなかった場合、改めて裁判等の手続きをとることなく、強制執行手続が可能になるという点にあります。
    ちなみに、強制執行手続自体も、裁判所に申立てをして進める必要があります(調停や裁判とは別の手続となります)。

    養育費を確実に支払ってもらうためには、公正証書を作成しておくことは大変有益ですし、支払う側にとっても、公正証書を作成することにより、取り決めた内容以上の支払いを求められる危険性が低くなるなどのメリットがあるのではないでしょうか。

    公正証書自体は公正役場で作成してもらうものですが、事前にある程度文案をまとめたうえで作成を依頼したほうがスムーズでしょう。文案を自分で作成することが難しい場合には、弁護士に依頼をすれば作成してもらうこともできます。

4、養育費が支払われない場合の対応

  1. (1)取決めがない場合-調停や審判・裁判を申し立てる-

    養育費の金額などについて明確な取決めがなされていない状況で、養育費が支払われない場合には、まずは相手に支払いを求め、それでも支払わなければ、家庭裁判所に養育費の調停を申し立てることが考えられます。調停で話合いがまとまとまらない場合には、審判(離婚・親権とあわせて決める場合には裁判)という形で裁判官に判断してもらうことになります。

  2. (2)取決めがある場合-履行勧告の申出や強制執行の申立てをする-

    家庭裁判所の調停や審判などで決まった養育費が支払われない場合には、家庭裁判所に「履行勧告」の申出をすることが考えられます。履行勧告の申出があると、家庭裁判所が、養育費の支払義務を履行するように勧告してくれるのですが、この履行勧告には強制力はありません。

    また、家庭裁判所の調停や審判などで決まった養育費が支払われない場合には、強制執行により養育費支払義務者の財産や給与を差し押さえることが可能です(別途、裁判所への申立手続が必要です)。前述のとおり、公正証書を作成している場合も、強制執行をすることができます。

    養育費支払の強制執行では、給与を差し押さえることがよくありますが、ほかに預貯金などの財産があれば、当然それを差し押さえることも可能です。ちなみに、給与は、通常の金銭支払の強制執行の場合は4分の1までしか差し押さえることができませんが、養育費の場合は2分の1まで差し押さえることができます。

    なお、口頭や単に当事者で作成した書面での取決めしかない状況で、養育費が支払われない場合には、金銭の貸し借りなどと同様に、簡易裁判所や地方裁判所に民事の裁判を起こして支払いを求めることができると考えられていますが、取決め後の状況の変化などに応じて、改めて調停をして、今後の養育費や未払養育費の支払について取決めをし直すほうがよいときもあるでしょう。

    このように、養育費が支払われない場合、その対応としてはさまざまな方法があり、状況に応じて最適なものを選択することが必要になりますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

養育費は、支払いが長期間に及ぶことも多く、支払金額や支払期間を取り決めるにあたって争いになったり、取り決めたどおりに支払われなくなったりする可能性が十分にあります。
もしも、現在、離婚や養育費について、少しでも悩みや疑問を抱えているならば、お気軽にベリーベスト法律事務所 大阪オフィスへご相談ください。離婚や養育費に関する問題の解決実績が豊富な弁護士が、あなたの状況に合わせて最適なアドバイスを行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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