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育児・介護休業法が改正! 施行日別に弁護士がわかりやすく解説

2022年01月11日
  • 労働問題
  • 育児・介護休業法
  • 改正
育児・介護休業法が改正! 施行日別に弁護士がわかりやすく解説

令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月1日から段階的に改正法が施行されていきます。

少子化が進む日本においては、仕事と育児の両立を図りながら生活をしていくことが非常に重要となります。改正育児・介護休業法では、男女ともに仕事と育児が両立することができるように、出生時育児休業制度の創設、雇用環境整備、個別周知・意向確認措置の義務化などの改正内容が含まれています。

企業の担当者としても労働者からの育児休業の申請に適切に対応するためにも、改正育児・介護休業法の内容を押さえておくことが大切です。今回は、改正育児・介護休業法の内容をベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士が解説します。

1、育児・介護休業法の改正ポイント

育児・介護休業法とはどのような法律なのでしょうか。以下では、育児・介護休業法の概要と改正のポイントについてわかりやすく説明します。

  1. (1)育児・介護休業法の概要

    育児・介護休業法とは、育児休業および介護休業に関する制度や子どもの監護休暇および介護休暇に関する制度を設けるとともに、育児または介護を行う労働者に対する支援措置を講じることなどによって、育児や介護の負担を負う労働者が退職することなく仕事を続けられることを目的とする法律です。

  2. (2)改正法のポイント

    令和3年6月に改正された育児・介護休業法のポイントとしては、以下のものが挙げられます。

    ① 雇用環境整備、個別の周知・意向確認措置の義務化
    育児休業および新たに創設された出生時育児休業について、労働者からの申し出が円滑に行われるようにするために事業主には、新たに雇用環境の整備が義務付けられることになりました。

    また、事業主は、妊娠・出産の申し出をした労働者に対して、育児休業制度に関する周知と休業の意向確認を個別に行わなければなりません。

    ② 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
    現行法を前提とすると、有期雇用労働者が育児・介護休業を取得するためには、以下の要件を満たさなければなりませんでした。

    • 引き続き雇用された期間が1年以上
    • 1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない


    しかし、改正法では、「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件を撤廃して、より育児・介護休業制度を利用しやすくなりました。

    ③ 出生時育児休業の創設
    改正法では、男性労働者の育休取得を後押しする目的で、新たに出生時育児休業制度が創設されました。

    また、現行法では、分割して取得することができなかった育児休業についても、改正法では、分割して2回取得することを可能にしています。

    ④ 育児休業取得状況の公表義務化
    改正法では、従業員1000人超の企業は、育児休業などの取得状況を年1回公表することが義務付けられることになりました。

2、令和4年4月1日施行分|義務化と緩和

以下では、令和4年4月1日から施行される改正育児・介護休業法の詳しい内容を説明します。

  1. (1)雇用環境整備、個別の周知・意向確認措置の義務化

    ① 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
    今回の改正法によって事業主には、労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境を整備することが新たに義務付けられました。現行法では、育児休業についての環境整備に関する規定は存在しませんでしたが、今回の改正によって、以下のような事項が義務付けられることになります。

    • 育児休業・出生時育児休業に関する研修の実施
    • 育児休業・出生時育児休業に関する相談体制の整備
    • 自社の労働者の育児休業・出生時育児休業取得事例の収集・提供
    • 自社の労働者の育児休業・出生時育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知


    なお、環境整備にあたっては、1か月以上の長期の育児休業の取得を希望する労働者が希望する期間の育児休業を取得することができるように、指針によって事業主に配慮が求められる予定です。

    ② 妊娠・出産の申し出をした労働者への個別の周知・意向確認の措置
    現行の制度では、妊娠・出産の申し出をした労働者に対する育児休業制度の周知や意向確認については、努力義務とされていました。そのため、実際に事業主から労働者に対して働きかけがなされるケースは多くはありませんでした。

    しかし、改正法では、労働者または労働者の配偶者が妊娠・出産したとの申し出があった場合には、事業主に対して、育児休業制度に関する以下の事項を個別に周知し、育児休業取得の意向を確認することが義務付けられました。

    • 育児休業・出生時育児休業に関する制度
    • 育児休業・出生時育児休業の申し出先
    • 育児休業給付に関すること
    • 労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取り扱い


    なお、労働者に対する周知方法については、以下のいずれかの方法によって行うこととされています。

    • 面談
    • 書面交付
    • FAX
    • 電子メールなど


    出生時育児休業の周知及び意向確認については令和4年10月1日から義務付けられます。

  2. (2)有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

    現行法を前提とすると、有期雇用労働者が育児・介護休業を取得するためには、以下の要件を満たさなければなりませんでした。

    • 引き続き雇用された期間が1年以上
    • 1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない


    しかし、改正法では、「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件を撤廃して、無期雇用労働者と同様の条件で育児・介護休業を取得することを可能にしました。ただし、引き続き雇用された期間が1年未満の有期雇用労働者については、労使協定を締結することによって、上記の要件緩和の対象外とすることも可能とされています。

    そのため、企業の担当者は、有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件をどのようにするかを検討して、必要に応じて労使協定の変更などの対応をしなければなりません。

3、令和4年10月1日施行分|男性育休の新設

以下では、令和4年10月1日から施行される改正育児・介護休業法の詳しい内容を説明します。

  1. (1)男性育休制度とは

    男性育休制度とは、正式名称を「出生時育児休業」といい、今回の法改正によって新たに導入された制度です。現行法でも育児休業制度がありますが、男性の育児休業取得率が低いこともあり、積極的に活用されているとは言い難い状況でした。

    そこで、新たに男性版の育児休業制度として出生時育児休業を設けることによって、女性が出産や育児で離職するという事態を防ぎながら、男女ともに仕事と育児を両立することが可能になりました。

  2. (2)男性育休制度の内容

    男性育休制度の具体的内容としては、以下のとおりです。

    ① 対象期間・取得可能日数
    育児休業を取得するタイミングについては、各家庭の事情によって異なります。そこで、出生時育児休業制度では、各家庭の事情に合わせて柔軟に育児休業を取得することができるように、子どもが生まれてから8週間以内に4週間まで取得することが可能とされています。

    なお、現行の育児休業制度と新たに導入された出生時育児休業制度を併せて利用するという方法も可能です。

    ② 申出期限
    出生時育児休業制度を利用する場合には、原則として休業の2週間前までに申請すればよいとされています。現行の育児休業制度では、原則として1か月前までに申請しなければならないとされていましたので、予定外の事態が生じたとしても柔軟に対応することが可能になりました。

    ③ 分割取得
    出生時育児休業制度は、合計28日を限度として2回に分割して取得することも可能です。そのため、妻が里帰り出産をするという場合には、出産後すぐのタイミングで1回目を、自宅に戻ったタイミングで2回目を取得するということも可能です。

    また、今回の法改正によって、現行の育児休業制度についても2回までの分割取得が認められました。そのため、育児休業制度と出生時育児休業制度の両方を利用することによって、合計4回の分割取得も可能となります。

    ④ 休業中の就業
    現行の育児休業制度では、育児休業中の就業は原則として認められていません。しかし、出生時育児休業制度は、労使協定を締結している場合に限って、労働者と事業主が合意した範囲内での就業が可能になります。ただし、日数や時間については、休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分以下、休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満とする上限があります。

    具体的には、以下のような手続きによって休業中の就業を行います。

    • 労働者から事業主に対して、就業可能な場合の条件について申出
    • 事業主が労働者から申し出のあった条件の範囲内で候補日や時間を提示
    • 労働者が同意
    • 事業主が通知

4、令和5年4月1日施行分|育休取得状況の公表義務化

常時雇用する従業員の数が1000人を超える事業主に対して、年1回、その雇用する労働者の育児休業の取得状況を公表することが義務付けられました。

公表しなければならない内容の詳細について今後省令で定められることになりますが、「育児休業などの取得率」または「育児休業などと育児目的休暇の取得率」のいずれかの公表が義務付けられる予定です。

5、まとめ

育児・介護休業法が改正されたことによって、男性でも積極的に育児休業を取得することが可能となりました。企業としても、雇用する労働者が仕事と育児を両立しながら働けるように、雇用環境の整備などを通じてサポートしていくとよいでしょう。

育児・介護休業法の改正による企業の対応についてお悩みの事業者の方は、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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