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離婚にあたり養育費と住宅ローンを相殺できる? 問題点と注意点

2022年05月11日
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離婚にあたり養育費と住宅ローンを相殺できる? 問題点と注意点

大阪府の人口動態調査によると、2019年中の大阪府内における婚姻件数は4万6395件、離婚件数は1万6282件でした。

離婚をする際、住宅ローンが残った家がある場合、その家にどちらが住み続けるかは大きな問題です。たとえば、夫名義で購入した住宅に、親権を獲得した妻が子どもと住み続けたいというケースもあるでしょう。この場合、夫から養育費をもらう代わりに、住宅ローンを支払ってもらう方が合理的なこともあります。

ただし、養育費の代わりに住宅ローンを払ってもらう場合には、注意すべきポイントも存在します。離婚後のトラブルを回避するためにも、養育費・住宅ローンに関する条件を十分に話し合って、きちんと書面化しておきましょう。

今回は、養育費と住宅ローン支払いを相殺することの可否や、養育費の代わりに住宅ローンを払ってもらう場合の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「令和元年 人口動態調査の結果」(大阪府))

1、住宅ローンと養育費を相殺することはできるのか?

養育費の代わりに住宅ローンを支払うことを、「相殺する」と表現する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この場合、法的な意味での「相殺」ではないことに注意する必要があります。

  1. (1)養育費は相殺禁止|一方的な相殺は認められない

    法的な意味での相殺とは、対立する債権を、当事者のいずれかの一方的な意思表示により打ち消し合うことを言います。

    この点、養育費を一方的な意思表示によって「相殺」することは法律上認められません。

    養育費請求権を含む扶養請求権は処分できないとされており(民法第881条)、そのため、
    差し押さえができない財産である「差押禁止債権」であると解されています。

    差押禁止債権であると、法的に相殺を行うことは禁止です(民法第510条)。

    また、そもそも、養育費は、子どもが親に対して扶養を求める権利です。一方で、住宅ローンは債務者である親が金融機関に対して払うものであり、子どもに対して支払うものではありません。したがって、住宅ローンの債権と養育費請求権は、同じ当事者間で債権債務が対立しているとはいえません。

    上記の理由から、養育費を支払う側・受け取る側のどちらからも、住宅ローンと養育費を法的に「相殺」することは認められません。

  2. (2)養育費の代わりに住宅ローンを支払う合意をすることは可能

    ただし、離婚時の金銭的な条件として、養育費の代わりに住宅ローンを支払うという条件で合意をすることは、当事者である夫婦の自由です

    これを「相殺」と表現するかどうかは別にして、お互いが納得していれば、養育費の代わりに住宅ローンを支払う取り決めもできます。

2、養育費の代わりに住宅ローンを支払う場合の注意点

ただし、養育費の代わりに住宅ローンを元配偶者に支払ってもらう場合、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)住宅ローンの支払いが滞ると、自宅を差し押さえられる可能性がある

    元配偶者が住宅ローンの支払いを滞らせた場合、住んでいる自宅が差し押さえられ、最終的に競売にかけられてしまうおそれがあります。

    住宅ローンを借り入れている場合、貸付人である金融機関が、土地と建物(マンション棟の場合は区分所有建物)に対して抵当権を設定します。抵当権とは、支払いが滞った場合に、土地や建物を売却して借金に充てる権利です。

    そのため、住宅ローンの支払いが数か月間滞ると、この抵当権が実行され、自宅の土地と建物が競売の対象になってしまうのです。

    住宅ローンの債務者が元配偶者で、住宅に子どもと住み続けている場合、住宅ローンの支払い状況に関する通知が全く来ないことも想定されます。その場合、知らないうちに自宅が競売にかけられてしまうという事態にもなりかねません。

    このような事態を回避するため、住宅ローンを確実に支払う旨を離婚協議書(公正証書)に残し、支払い状況についても毎月報告してもらうように取り決めておきましょう

  2. (2)自宅の所有者が元配偶者の場合、自宅を売却される可能性がある

    住宅ローンの残債を元配偶者が支払い続ける場合、一般に金融機関の抵当権との関係で、自宅の土地・建物の所有者(名義人)は元配偶者のままとする必要があります。

    この場合、元配偶者の判断により、住んでいる方や子どもに無断で、自宅が売却されてしまう可能性があるので要注意です。

    ただし、自宅が売却されたとしても、元配偶者に相応の賃料を支払っている場合には、賃借権の存在を新所有者に対抗する余地があります。

    しかし、全くまたはほとんど賃料を支払っていないケースでは、「使用貸借」という扱いになり、使用借権の存在を新所有者に対抗することができません。この場合、突然自宅を追い出されることになってしまいます。

    こうした事態にならないように、離婚協議書の中で、事前の承諾なく自宅の土地・建物を売却することを禁止する規定を盛り込みましょう。

  3. (3)事情変更により、支払い条件を変更される可能性がある

    一度取り決めた養育費についても、後に事情変更がある場合には、家庭裁判所の調停を通じて、減額や増額が認められることがあります。
    (参考:「養育費(請求・増額・減額等)調停の申立て」(裁判所))

    元配偶者が、住宅ローンを実質的に養育費の代わりとして支払っている場合、住宅ローンの支払いも、減額・増額の対象となりえます。

    たとえば、

    • 夫婦の収支バランスが変化した
    • いずれかの家族構成に変化が生じた(再婚・出産・養子縁組など)


    といった事情が発生した場合には、住宅ローンの支払い条件が変更される可能性があるので留意しておきましょう。

  4. (4)(元配偶者側)子どもから別途扶養料を請求される可能性がある

    養育費の代わりに住宅ローンを支払う元配偶者は、後で子どもから扶養料を請求される可能性があります。

    要するに、「養育費を支払っていないのだから、子どもである自分を扶養していないも同然だ!」ということです。

    元配偶者が、子どもとの間で扶養料に関するトラブルに巻き込まれることは、ご自身にとっても決して本意ではないでしょう。このようなトラブルを避けるには、住宅ローンの支払いが、実質的に養育費の支払いをカバーしているということを、離婚協議書等で明記しておくことが大切です。

3、離婚条件は書面に残すことが重要

これまで紹介した各種のトラブルは、離婚条件をきちんと話し合ったうえで、離婚協議書にまとめておくことで、大部分を回避できます。

また、元配偶者に財産分与や住宅ローンなどの不払いがあった場合、公正証書を作成してあるとスムーズに強制執行を申し立てることが可能です

  1. (1)合意内容を明確化し、トラブルを予防できる

    離婚協議書において、離婚条件を明確かつ網羅的に記載しておくことで、元夫婦間での「いった、いわない」の問題を回避できます。

    また、離婚協議書によって離婚後のルールを設け、法的に双方が拘束されることで、無秩序なトラブルに見舞われるリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

  2. (2)公正証書化すれば、強制執行もスムーズ

    財産分与・慰謝料・婚姻費用・養育費・住宅ローンなど、金銭的な支払いを取り決める場合には、離婚協議書を公正証書化しておくことが推奨されます。

    離婚公正証書において「強制執行認諾文言※」を記載しておけば、元配偶者に何らかの債務不履行があった際、裁判などを経ることなく、直ちに強制執行を申し立てられるからです。

    強制執行認諾文言
    金銭債務等の支払いにつき、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述(民事執行法第22条第5号)


    離婚公正証書は、公証役場で作成します。弁護士に依頼すれば、事前の公証役場との折衝から実際の公正証書の作成手続きまでワンストップで任せることができ、仕事や家事で忙しい中でも適切に進めることができて安心です。

4、離婚に関するトラブルは早めに弁護士へ相談を

離婚に関するトラブルは、当事者同士で解決を図ろうとすると、感情的な対立から泥沼化してしまうケースが少なくありません。

スムーズに適正な条件で離婚を成立させ、1日も早く前向きに新たな生活を始めるためには、弁護士への依頼をおすすめします。

弁護士は、離婚に関する協議・調停・訴訟の手続きを依頼者に代わって行い、円滑かつ適切な形での離婚成立に向けて尽力いたします。また、弁護士が交渉を代理で行うこともできるため、協議等で相手と顔を合わせる必要もなくなり、精神的なストレスも大きく軽減されるでしょう。

配偶者との離婚をご検討中の方は、ぜひお早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

元配偶者に、養育費の代わりに住宅ローンを支払ってもらうことは、お互いの合意があれば可能です。ただし、住宅ローンの支払いが滞って自宅が競売にかけられたり、元配偶者が自宅を勝手に売却したりすることがないように、離婚協議書の中で必要な手当を行っておきましょう

ベリーベスト法律事務所には、離婚問題の解決を得意とする弁護士が多数在籍しております。依頼者のご希望を踏まえたうえで、できる限りスムーズかつ有利な条件で離婚を成立させられるように、親身になってサポートいたします。配偶者と離婚したいとお考えの方は、お早めにベリーベスト法律事務所 大阪オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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