酒気帯び運転とはどんな行為?罰則や逮捕後の対応など
- その他
- 酒気帯び運転
家まで車で10分だから。生ビール一杯しか飲んでいないから……。
そんな理由でお酒を飲んだ後、自動車を運転すると、当然のことながら飲酒運転となります。飲酒運転に対しては厳しい罰則があることをご存知の方も多いかもしれませんが、酒気帯び運転と酒酔い運転の違いや、判断基準について知らない方は多いと思います。
本コラムでは、飲酒運転における酒気帯び運転と酒酔い運転の違いを解説しつつ、酒気帯び運転とはどういったものか、判断基準や罰則、逮捕後の流れについて弁護士が解説していきます。
1、飲酒運転と酒気帯び運転
飲酒運転とは、お酒を飲み、アルコールの影響がある状態で車両を運転する行為のことです。自動車やバイク、自転車などの乗り物に適用されます。
そして、飲酒運転には大きく2種類あります。「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」です。
酒酔い運転とは、アルコールの影響で、正常に車両を運転できないおそれのある状態のことをいいます。まっすぐ歩くことができずフラフラしているような、完全に酔っぱらった状態で運転する違反を酒酔い運転といいます。
酒気帯び運転とは、体内に一定の基準以上のアルコールがある状態で車両を運転する行為のことをいいます。
以下、酒気帯び運転の基準や罰則について詳しく説明していきます。
-
(1)酒気帯び運転の検査方法
酒気帯び運転は、多くの場合、検問や職務質問で検査され、発覚します。警察が運転者の息を吐かせて匂いを調べたり、風船を膨らませてアルコール濃度を測ったりして検査を行います。検査を拒絶すると罰則があります。刑罰で3か月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
-
(2)酒気帯び運転の基準
酒気帯び運転の判断基準は、運転者の体内にどの程度のアルコールがあるかで判断されます。基準値は、呼気1リットルに0.15ミリグラム以上、または血中1ミリリットルに0.3ミリグラム以上です。この基準になるにはお酒の種類は関係なく、日本酒やウィスキーはもちろん、ビール1本でも酒気帯び運転になり得ます。
-
(3)酒気帯び運転の罰則
酒気帯び運転をすると道路交通法違反となり、刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。これに加えて交通違反の点数も付き、アルコールが呼気1リットルに0.25ミリグラム未満であれば13点、それ以上であれば25点で、前者では免許停止、後者では免許取消の対象となります。
ちなみに、事故を起こして死傷者を出した場合は「危険運転致死傷罪」が適用され、そのまま逃げてしまうとひき逃げに問われ、さらに重い罰則が科される可能性があります。 -
(4)運転者以外に罰則が科されることも
酒気帯び運転の罰則は、必ずしも飲酒した運転者だけに科されるものではなく、場合によっては運転者以外に科されることもあります。対象となるのは、お酒に酔った人に車両を提供した方、運転の予定がある人に酒類を提供した方、そして運転者が飲酒していることを知りながら一緒に車に乗っていた人です。
車両提供者に対する罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金と、運転者に対する罰則と同等です。酒類提供者と同乗者についても、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。 -
(5)「酒酔い運転」との違い
酒気帯び運転以外に飲酒運転となるケースが、「酒酔い運転」をしたときです。名前の響きが違うとおり、これら2つは異なるものです。まず判断基準が異なり、酒酔い運転の場合は酒気帯び運転のようなアルコール濃度の数値は関係ありません。アルコールの影響により正常の運転ができないおそれがある状態かどうかが判断基準です。そして酒酔い運転にはより重い刑罰があり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
2、酒気帯び運転と逮捕
次に、酒気帯び運転での逮捕について説明します。
-
(1)現行犯が基本
酒気帯び運転で逮捕される場合は、現行犯が基本です。時間が経てばアルコールは体内から抜けていきますし、酒気帯び運転していた証拠の確保を後日行うのは難しいといえます。ただし、事故を起こして別の罪に問われる可能性がある場合は、後日逮捕の可能性もあります。たとえば、酒気帯び運転でひき逃げをした場合はその可能性が高いです。
-
(2)逮捕後の拘束
逮捕された後は、まず48時間以内に身柄が検察官に送致されます。そして24時間以内に検察官が勾留の必要があると判断し、勾留請求した場合、裁判所で勾留の要否が判断されます。勾留の必要がないと判断されれば釈放される可能性もありますが、そうでなければ勾留されることになります。仮に勾留されなかった場合も、「在宅捜査」という形で捜査自体は続きます。勾留による拘束は最初10日間ですが、捜査の進み具合によって10日間延長されることもあります。その後、不起訴になれば刑罰を受けずに釈放されますが、起訴されると裁判になり、刑罰を受ける可能性があります。
-
(3)逮捕後にできる対応
逮捕された場合、なるべく不利な状況に陥らないようにできるいくつかの対策があります。
・勾留されないようにする
自由を制限される最大20日間の勾留は、できる限り避けたいものです。そのためにはまず、勾留されないように検察官や裁判官を納得させることが大切です。事故を起こしていない場合、逮捕された本人の事情を伝えれば釈放してもらえる可能性もあります。この説明を行う際は、当事者である本人が直接行うよりも、弁護士を通した方がよいでしょう。
・被害者との示談を成立させる
もし事故を起こしてしまい被害者がいる場合は、示談を成立させることも有効な対応のひとつです。仮に裁判になったとしても、示談の成立は判決に影響を与えます。ただし示談が難航することも考えて、交渉は弁護士に依頼して行うのが得策です。 -
(4)裁判になっても罰金や執行猶予の場合がある
事故を起こしていなければ、裁判になっても罰金や執行猶予になる場合があります。考慮されるのは、前科があるか、反省しているか、どの程度の飲酒かといった点です。罰金になる場合は、略式起訴という簡易的な裁判の方式がとられることが多いです。また、仮に事故を起こしていても、上で述べた示談が成立していることなどが考慮され、執行猶予になることも考えられます。
3、まとめ
今回ご紹介したように、酒気帯び運転に対しては厳しい罰則があります。事故など起こしてしまった場合には逮捕され、それまでの生活が一変してしまうことでしょう。
もし、酒気帯び運転を行ってしまい、逮捕され、お悩みを抱えているようでしたら、ベリーベスト法律事務所大阪オフィスまでご相談ください。大阪オフィスの弁護士がしっかりとお話をうかがい、弁護活動に力を尽くしてまいります。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています