大阪の事業者や店舗がネットの風評被害を受けたときの対処法とは
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昨今ではインターネット上に悪質な誹謗中傷を書き込み、個人や企業が顧客の減少などの被害を受ける事例が多発しています。平成28年10月には、橋下徹前大阪市長が週刊文春の記事が事実無根で、名誉毀損(きそん)にあたるとし、1100万円の損害賠償請求を起こした事件の判決が下されました。結論は、名誉毀損であると認定し週刊文春に220万円の支払を命じるものでした。
名誉毀損といえば、このように週刊誌や報道機関に向けられがちな罪ですが、昨今では個人のインターネットの書き込みでも、成立するという判例が増えています。ネットの風評被害は放置しておいてもおさまることがありませんので、早急に対策をしたうえで、投稿者に毅然とした対応を取る必要があります。
そこで、今回はインターネットで風評被害を受けた際の対処法と、相談先について、ベリーベスト法律事務所・大阪オフィスの弁護士が解説します。
1、ネットの風評被害って何? どのような書き込みが風評被害になる?
インターネットの風評被害とは、FacebookなどのSNSや匿名掲示板、個人のブログや口コミサイトなどに根も葉もない悪評や、デマ、悪口などが書き込まれたことで、客先が遠のいてしまったり、顧客が減少したりといった被害が生じることをさします。
飲食店であれば、「洗っていない野菜をそのまま使っている」、「前の客の食べ残しを使いまわしている」などの書き込みが該当するでしょう。一般企業であれば「検査データを改ざんして粗悪な製品を出荷している」など、事実とは異なる書き込みが風評被害といえるでしょう。
2、ネットの風評被害が企業に与える3つの影響
ネットの風評被害を放置すると会社経営にどのような影響を与えるのでしょうか。風評被害の広まり、そして企業への影響を解説します。
●信用の低下
インターネットの書き込みが真実なのかデタラメなのかは閲覧者には判断ができません。「こんなのはうそだと」思いながらも、「火のないところに煙は立たない」と考えてしまうのが人情だともいえるでしょう。たとえば「ネズミのふんだらけだ」と書き込まれた飲食店では食事をしたくないと考えるのは当然でしょう。書き込みが放置され続けると徐々に信用が低下してしまいます。
●客&売り上げの減少
お店や会社の信用が低下すれば、客足が遠のき売り上げは減少してしまいます。一般企業であれば、取引先が取引を断ってくる可能性があります。新規顧客も獲得しづらくなるでしょう。顧客が減少すれば、売り上げも減ってしまい、会社の存続も危ぶまれます。
●従業員の確保が難しくなる
「パワハラが横行している」、「ノルマが達成できなければ罰金を支払わされる」など、雇用環境に対する根拠のない悪評が出回ってしまうと、悪い口コミが浸透してしまい、採用活動が難しくなります。人材不足によって廃業を余儀なくされる企業や店舗も少なからず存在しますので、風評被害によって採用活動が阻害されることは、経営に大きなダメージを与えかねません。
3、ネットの風評被害で実害が発生したケース
次はインターネットで受けた誹謗中傷によって風評被害を受け、実害が発生し、損害賠償請求を行った事例を紹介します。
平成14年10月から11月にかけて、フランチャイズ企業Aに対し、「カルト集団」、「給料のサバ読み」などの書き込みがなされたサイトが登場しました。そこでフランチャイズ企業Aは、印象の悪い書き込みによって名誉が損なわれ、風評被害を受けたとして、投稿者に対して、刑事告訴に踏み切ったのです。
刑事告訴に踏み切ったのは平成14年ですが、判決が下されたのは平成22年3月です。一審では、投稿者が無罪であると判断されましたが、最高裁では投稿者が有罪であると結論づけ、30万円の罰金が確定しています。
さらに、平成15年には民事でも損害賠償請求の訴えを起こし、投稿者に対して77万円の損害賠償請求が命じられました。企業や飲食店においてはユーザーや顧客の口コミ、評判が業績に大きな影響を与えるものです。時間がかかることもありますが、被害が拡大する前に対策を採ることが必須です。
4、ネットの風評被害を受けたら行うべき4つのステップ
ネットの風評被害を受けたら、行うべき4つのステップを解説します。現在進行形で風評被害にあっている場合は、速やかに対策に取り掛かりましょう。
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(1)投稿の削除を依頼する
まず大切なのは、風評被害の元となっている書き込みや記事を削除することです。掲示板やSNSなどには「削除依頼フォーム」が用意されているので、フォームに必要事項を入力して、削除を申請しましょう。ただし、必ず削除されるとは限らないので、反応がなければ、一般社団法人テレコムサービス協会が作成した「ガイドライン」に従って削除依頼を行います。
サイト管理者やプロバイダに郵送して、削除の可否を判断し投稿者に削除の可否を尋ねて、反応がなければ7日以内に削除する運びとなります。ただし、「削除するべきだ」と管理者などに理解してもらうために、証拠書類を提出しなければならないケースもあります。 -
(2)投稿者を特定する
投稿が削除されたら、投稿者を特定します。投稿者の特定は「発信者情報開示請求」という手続きを行います。いくら書き込みを削除しても、投稿している本人が書き込みをやめなければ、風評被害はおさまらないからです。
発信者情報開示請求は、プロバイダに対して行います。書面などで通知して開示を求めますが、それだけでは応じないプロバイダが少なくないため,裁判所に対して発信者情報開示の仮処分命令の申立てを行います。 -
(3)損害賠償請求を行う
投稿者が特定できたら、風評被害が発生するほどの誹謗中傷などを書き込んだ投稿者に損害賠償請求を検討してみましょう。慰謝料と、発信者情報開示や、弁護士に依頼した費用などが請求できる可能性があります。
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(4)刑事告訴する
風評被害の書き込みが、何らかの刑事罰に該当する場合は、刑事告訴も視野に入れましょう。名誉毀損罪や、侮辱罪、信用毀損罪などに問われる可能性があります。先ほど紹介したフランチャイズ店に対する風評被害事件では、投稿者に名誉毀損が成立し、刑事罰が科されています。
5、ネットの風評被害を受けた際の確実な相談先
インターネットの風評被害を受けていることがわかったら、なるべく早くインターネット問題に対応した経験が豊富な弁護士に相談しましょう。インターネットの書き込みの拡散力はすさまじく、たった1週間で、あちこちのサイトに転載され削除しようにも数が多すぎて不可能になってしまうケースも少なくありません。
また、そのまま放置しておくと検索サイトの関連ワードに不適切なワードが記載されてしまい、世界規模で風評被害が広がる可能性があります。そのためには、速やかに削除すべきなのですが、サイト管理者は個人からの削除依頼にスムーズに応じることは多くありません。
しかし、弁護士に依頼すれば、弁護士名で削除依頼を行えます。それだけで、すんなりと削除に応じることもあるのです。また、削除依頼に応じなかった場合の裁判上の手続きなども速やかに着手できるので、風評被害の拡大を防止できる可能性もあるでしょう。その後、投稿者に対して損害賠償請求や刑事告訴を検討しているのであれば、なおさら早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
最近では、風評被害の対策会社も多く誕生していますが、弁護士ではないため裁判上の手続きや訴訟などの代理人となることはできません。また、本人以外からの削除請求が行えるのは、弁護士だけに限られています。その他の人物が報酬を得た上で代理で削除請求を行えば、「非弁行為」に該当するため処罰の対象となります。すべての対応を一任したい、万が一の時に備えたいとお考えであれば、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
6、まとめ
「人のうわさは75日」といいますが、インターネットの風評被害は放置しておいても、なくなることはありません。人間は忘れても検索エンジンや書き込みや投稿は消えずにずっと残り続けるためです。
むしろインターネットでは、まとめサイトなどの存在があるため、年月がたてばたつほど拡散されることも少なくありません。誹謗中傷などの書き込みが拡散してしまえば、お店や企業の経営存続に関わる深刻な売り上げの減少などを引き起こしかねない実害が生じてしまいます。
そうならないために、風評被害を受けていることがわかったら素早く信頼できる弁護士に依頼しましょう。ベリーベスト弁護士事務所・大阪オフィスでは、インターネットの風評被害問題に対応した実績が豊富な弁護士が在籍していますので、被害が拡大する前に相談してください。親身になって対応し、適切な対処法をアドバイスいたします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています