未成年の息子が盗撮で逮捕。逮捕後の流れと親がとるべき行動とは?
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盗撮は、軽犯罪法や迷惑防止条例違反にあたる犯罪です。
平成26年の犯罪白書の統計によると、盗撮によって迷惑防止条例違反で検挙された件数は3265件、件数は増加傾向にあります。県別でみた犯罪全体の検挙率は「大阪府」がワーストとなっています。
少年事件に関していえば、平成19年の103224件から、平成28年の31516件と事件数自体は減少傾向にあります。しかし、生活に身近なスマートフォンが事件に使われることもあり、関連するアプリの普及が事件の悪質化に拍車をかけ、盗撮は今や身近な犯罪といえます。
もし、未成年の息子が盗撮で逮捕されたら? どのような罪となり、手続きを経るのか、そして家族は何ができるのかについて、弁護士が説明します。
1、未成年の盗撮は「少年事件」に該当
少年事件(少年犯罪)とは、20歳に満たない男女がした事件・犯罪のことを指します。「少年法」によって詳細に定義されており、14歳未満・以上を基準に対処が異なります。
14歳未満の場合は刑事責任に問われることはなく、逮捕されることもありません。しかし、内容や状況によっては児童相談所に一時保護されることがあります。
また、未成年が14歳以上の場合は、刑事責任能力があるため、成人と同様に逮捕、勾留がされます。
2、未成年が盗撮で逮捕された後の流れ
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(1)逮捕・勾留
逮捕の種類は、「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」の3種があり、通常逮捕の場合は自宅などに逮捕状を持った警察が訪れ、逮捕されることになります。盗撮であれば現行犯逮捕の場合が多いでしょう。現行犯逮捕に関しては、警察でなくても、一般人でも逮捕可能です。
逮捕後48時間以内に警察からの捜査を受けます。この間は家族であっても面会することはできません。警察の捜査が終了した後、検察へと身柄が移されます。これを「送致」といい、24時間以内に検察からの捜査を受けます。逮捕から最大72時間(48時間+24時間)の間に、検察は身柄を拘束し続けるかどうかを判断します。
引き続き身柄拘束が必要だと判断された場合、成人事件と同じく検察は裁判所に対して勾留請求をします。勾留期間は原則10日間ですが、捜査が必要な場合はさらに10日間、最大20日間勾留されることになります。
もっとも、身体拘束が少年に与える影響の大きさに鑑みて、少年事件では成人とは異なる規定が置かれています。検察官は、勾留に代わる観護措置をとることができますし、やむを得ない場合でなければ勾留を請求することができません。 -
(2)家庭裁判所送致
検察の捜査が終了すると、犯罪の嫌疑が不十分である場合を除いて、すべての事件を家庭裁判所に送致することとされています。したがって、未成年の事件の処分は基本的に家庭裁判所の審判によって決められます。
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(3)少年審判
家庭裁判所で少年審判が行われます。
家庭裁判所の審判により、「不処分」「保護観察」「少年院送致」「施設送致」「検察官送致」から処分が決定されます。特に凶悪な犯罪・事件の場合は、検察官に送致され起訴され(「逆送」といいます)、地方裁判所にて刑事裁判として扱われることになりますが、盗撮の場合はその可能性は低いでしょう。
●不処分
不処分とは、事件・犯罪と認定されなかった場合や処分を受けさせる必要がないと判断された場合に下されます。成人の刑事事件でいう、無罪や不起訴にあたります。
●保護観察
保護観察は保護処分の一つであり、少年を施設に収容することなく、社会での生活を送りながら保護観察官などが生活指導を行い、更生を図ります。
●少年院送致
少年院送致は保護処分の一つであり、閉鎖施設において少年の自由を拘束する点で、保護処分の中でも最も強力な処分です。強制的に収容し規律ある生活に親しませて矯正教育を行うことで、社会への適応を図ります。
●施設送致
施設送致も保護処分の一つであり、児童自立支援施設・児童養護施設への送致を指します。施設で生活を送りながら更生を図っていきますが、少年院とは異なり、開放施設である点が異なります。
3、少年事件と成人犯罪の違い
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(1)原則、家庭裁判所に送致される
逮捕から勾留までの流れは成人とあまり大差はありませんが、検察の捜査が終了すると、犯罪の嫌疑が不十分である場合を除いて、必ず家庭裁判所に送られます。
成人の刑事事件の場合、検察の裁量で不起訴処分になることもありますが、この点が大きな違いといえます。 -
(2)保釈制度は原則ない
成人の刑事事件であれば、検察が裁判所に公判請求した段階で保釈請求が可能です。保釈請求が通れば、身柄が開放されます。
しかし、少年事件においては、家庭裁判所に送致されたとしても保釈請求はできません。多くの場合、家庭裁判所に送致されるのと同時に観護措置がとられます。観護措置を回避したい場合、「審判の前に意見書を提出」することが必要になります。また、観護措置決定がなされた場合、「観護措置取消し」を求めたり、「観護措置決定に対する異議申立て」をしたりして観護措置を争うことになります。 -
(3)原則、少年審判は非公開
成人の場合は、原則として裁判は公開されます。しかし、未成年の少年事件の場合は逆で、原則として少年審判は公開されません。非公開の審判が開かれ、裁判官・書記官・調査官・付添人・少年・保護者以外の人は入れません。弁護士は審判時、付添人としてあなたの息子に付き添い、弁護活動に似た対応を行うことになります。
4、学校にバレずに穏便に解決する方法はある?
警察官や調査官は、それぞれ捜査や調査の必要性があれば、学校に問い合わせをすることがあります。学校にはバレたくないという事情をお持ちの方は、弁護士からその事情を担当者に伝え、担当者の理解を得ることで学校への連絡を阻止できる可能性があります。
盗撮・暴行・窃盗など、特定の被害者がいる事件であれば成人の刑事事件と同じく示談することも可能です。示談交渉により被害者と和解できれば、早期釈放へもつながる可能性が高まります。
なお、少年法では実名報道を制限していますが、逮捕者や指名手配犯は含まれません。また、ネットなどで実名が公表されてしまうと、社会復帰が難しくなる可能性が高くなってしまいます。穏便に解決を図れるかどうかは「時間との勝負」です。迷う時間があれば、まずは弁護士に相談しましょう。
5、早期釈放からその後のサポートまで弁護士へ相談を
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(1)身柄拘束中の接見
逮捕された方に会いに行くことを「接見」といいます。身柄を拘束されている警察署にいきなり訪問しても会えないケースが多いでしょう。接見可能な日時や時間、人数や回数などのルールがあり、これは警察署によっても違うからです。事前に電話で確認することをおすすめします。
弁護士に依頼することを決めているのであれば、依頼した弁護士に段取りをつけてもらいましょう。ただし、逮捕から勾留が決まるまでの最長72時間の間は、たとえ親でも接見ができません。自由な接見を行えるのは弁護士に限られます。よって、盗撮をしてしまった本人の心を支えるためにも、早期に弁護士へ依頼し、状況確認やコミュニケーションをとってもらうことをおすすめします。 -
(2)調査官との話し合い
調査官は環境、少年自身の資質・意欲・能力、反省・立ち直り、警察の捜査記録などを調査します。その結果を踏まえ、「どのような処分がふさわしいか」という意見も記載して調査報告書を裁判官に提出します。
裁判官と少年は、家庭裁判所に送られてきた日と審判当日くらいにしか顔を合わすことはありません。一方で裁判官は調査官の処遇意見を重視するので、調査官の意見は、審判に大きな影響を与えます。調査報告書が審判にどれほど影響を及ぼすか、重要であるかご理解いただけるかと思います。
そこで、弁護士は付添人として、必要に応じて調査官と面会するなどして少年の処遇方針について話合いをしていきます。 -
(3)学校・職場への対応
盗撮の事実を学校や勤務先に知られることで、退学や解雇につながることも考えられます。また、事件が周りに知れてしまうことで自暴自棄になり、子どもが別の非行に走ってしまうかもしれません。
一方、隠すよりも学校や職場に事情を説明し、交渉することが最善となる場合もあります。
今後のことも含め、弁護士への相談をおすすめします。 -
(4)被害者への対応・示談交渉
もしも未成年の子どもが逮捕されたのであれば、まずは弁護士にご相談ください。ご家族だけで全てに対処することは非常に困難といえるでしょう。特に示談交渉では、加害者の家族が対応しようとしても、思い通りの結果につながらない可能性もあります。これは、成人事件でも同じ傾向があります。弁護士が介入することで、スムーズに示談が進む可能性が高まるのです。
6、まとめ
「息子さんを逮捕しました」と連絡が入ったとしたら、どれだけの方が冷静に対処できるでしょうか。時間との戦いになりますので、対処方法を調べている時間もありません。子どもを救い出し、救い出した後に道を示すのは親としての務めです。「恥ずかしい」「学校・職場はどうしよう」と考える前に、将来への不安を抱くことになる多感な子どもを、しっかり支えてあげてほしいと考えます。
まずは、子どもの将来のためにも、ベリーベスト法律事務所大阪オフィスへ相談してください。弁護士は「被害者との示談」「学校・職場との交渉」「捜査機関への弁護活動」「本人と面会」など、あらゆるサポートが可能です。元検事の弁護士をはじめとした、刑事・少年事件の対応経験が豊富な弁護士が、最善策を提示いたします。
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