違反切符とはどんなもの? 赤白青、それぞれの違反内容と処罰
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大阪府警が公表している令和元年版大阪の交通白書(一般財団法人大阪府交通安全協会発行)によると、大阪府での令和元年の交通違反の取締件数は、48万2158件でした。平成30年の交通違反の取締件数が52万2708件であったことからすると、4万件程度減少しています。しかし、それでも、毎年一定数の交通違反が検挙されていることがわかります。
このように、交通違反で検挙された際、警察から交付されるものが「違反切符」です。自動車等を運転していると、ちょっとした不注意で交通違反をしてしまうことがあります。交通違反をして違反切符を交付されたときには、どのような手続きをすればよいかを詳細に知っている方は少ないでしょう。
もし自分が違反切符を交付されてしまったときに備えて、詳しく知っておくのが有益です。
今回は、違反切符とはどのようなものか、それぞれの違反内容と手続き内容について、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士が解説します。
1、赤切符・青切符・白切符、それぞれの違いは
交通違反を起こしたときには、その内容や程度に応じて赤切符、青切符、白切符のいずれかが交付されます。そして、交付された切符の種類に応じて、行政上の責任と刑事上の責任を負うことがあります。
以下では、それぞれの違反切符の違いや違反切符で予定されている処分の内容について説明します。
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(1)赤切符とは
赤切符は、正式には「道路交通法等違反事件迅速処理のための共用書式」のうちの「告知票・免許証保管証」をいい、比較的重い交通違反を起こしたときに交付されるものをいいます。交付される違反切符の中では、もっとも重い処分を予定している違反切符です。
赤切符の交付を受ける交通違反としては、酒酔い運転、酒気帯び運転、無免許運転、速度超過(30km/h以上。高速道路では40km/h以上)などがあります。いわゆる「ながら運転」への厳罰化によって、運転中に携帯電話等を通話のために使用したり、画像を注視したりした者が、交通の危険を生じさせた行為(道路交通法71条第5号の5、117条の4第1号の2)についても赤切符の対象となりました。
赤切符の交付を受けたときに受ける行政処分と刑事処分は、以下のとおりです。
① 行政処分
赤切符を交付されるのは比較的重い交通違反を犯したときです。具体的な目安としては、違反点数が6点以上の交通違反を犯したときに赤切符が交付されます。違反点数が6点以上ですので、過去3年間に行政処分を受けたことがない方であっても免許の停止処分を受けることになりますし、行政処分歴がある方は、場合によっては、免許の取り消し処分を受けることもあります。
② 刑事処分
赤切符の特徴としては、刑事処分を当然に予定しているということです。後述する青切符の場合には、交通反則通告制度により、刑事処分を受けないことがありますが、赤切符の交付を受けたときには、刑事処分を受けることになります。
刑事処分の内容としては、違反した内容によって、罰金、禁錮、懲役刑があります。違反を認めている場合には、略式裁判という簡易な手続きで罰金が科されることが多いです。 -
(2)青切符とは
青切符は、正式名称を「交通反則告知書・免許証保管証」といい、赤切符よりも軽微な交通違反の際に交付される切符のことをいいます。交付される違反切符の中では、赤切符の次に重い処分を予定している違反切符です。
青切符の交付を受ける交通違反としては、速度超過(30km/h未満。高速道路では40km/h未満)、信号無視、追越し禁止違反などがあります。
青切符の交付を受けたときに受ける行政処分と刑事処分は、以下のとおりです。
① 行政処分
青切符の交付を受ける交通違反は、基本的には免許停止や免許取消といった行政処分を予定していない軽微な違反です。そのため、青切符の交付を受けたときには、違反行為に応じた点数が加算されるだけで、基本的には免許停止や免許取消といった行政処分を受けることはありません。ただし、過去に交通違反があり一定の累積点数を超えたときなどには、免許停止や免許取消といった行政処分を受けることがあります。
② 刑事処分
青切符の交付を受けたときには、同時に反則金の納付書が交付されます。この反則金を納付すれば、刑事処分を受けることはありません。反則金の納付は交通反則通告制度に基づく行政処分の一種ですので、赤切符の罰金とは異なり、前科になることはありません。
ただし、期限までに反則金の納付がないときには、刑事手続きに移行し、違反内容に応じた刑事処分を受けることになります。 -
(3)白切符とは
白切符は、正式名称を「告知票」といい、別名を点数切符と呼ばれるもので、反則金のない点数だけの交通違反を犯したときに交付される切符のことをいいます。三種類の違反切符の中でももっとも軽い処分を予定している違反切符です。
白切符が交付される交通違反としては、座席ベルト装着義務違反、幼児用補助装置使用義務違反などがあります。
反則金がなく違反点数のみの処分ですので、それのみによっては行政処分や刑事処分はありません。
2、違反切符を交付された後の罰金等の納付までの流れ
違反切符を交付されたあとはどのような流れで進むのでしょうか。白切符の場合には、その後の行政処分や刑事処分を予定していませんので、以下では、赤切符を交付された場合と青切符を交付された場合に分けて説明します。
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(1)赤切符の場合
赤切符を交付されたときには、簡易裁判所に出頭し、刑事手続きを受けることになります。出頭する日時と場所については、通常、赤切符に記載があります。
赤切符を切られたときの刑事手続きは、テレビで見るような法廷での裁判ではなく、三者即日処理方式という簡略化された手続によってなされることになります。三者即日処理方式とは、警察の取調べ、警察から検察庁への送致、検察の取調べ、検察庁から裁判所への略式命令請求、略式命令の告知、罰金の仮納付という一連の手続きを1日で行う方式のことをいいます。
通常の裁判手続きでは、警察、検察、裁判所に何度か出頭しなければなりませんが、三者即日処理方式では、2時間程度で手続きが終了することになります。 -
(2)青切符の場合
青切符を切られた場合、取締にあたった警察官から青切符と一緒に「反則金仮納付書」が交付されます。反則金仮納付書の交付を受けたときには、その日の翌日から起算して7日以内に銀行や郵便局で反則金を納付すれば、手続きは終了です。
反則金仮納付書の納付期限が経過してしまったときには、新たな納付書が必要になります。新たな納付書は、各都道府県の交通反則通告センターに出頭し、受け取ります。交通反則通告センターに出頭できない方は、納付書を郵送してもらうことも可能です。納付書を受け取った方は、受け取った日の翌日から起算して10日以内に反則金の納付をしなければなりません。
この納付書の交付を受けたにもかかわらず、期限内に反則金の納付がないときには、刑事手続きに移行することがあります。
3、内容に不服があるときは裁判へ
違反切符を交付されたものの、その内容に不服があるときには裁判で争っていくことになります。
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(1)違反点数のみの処分のとき
交通違反をして、違反点数がついたものの、免許停止などの処分を受けなかったときは、違反点数が付いたことのみを争うことはできません。
ただし、違反点数が付くことで、自動車等運転免許証の有効期間の更新にあたって、優良運転者(いわゆるゴールド免許)ではなく一般運転者(いわゆるブルー免許)として扱われることになります。優良運転者である旨の記載のない免許証を交付されて更新処分を受けたときは、審査請求や取消訴訟によって争うことが可能です(平成21年2月27日最高裁判決)。 -
(2)免許停止などの行政処分があったとき
交通違反をして、違反点数が付いた結果、免許停止や免許取消の行政処分を受けることがあります。これらの行政処分に不服があるときには、都道府県公安委員会に対する審査請求や地方裁判所に対する取消訴訟で争うことができます。
都道府県公安員会に対する審査請求は、原則として、免許停止などの行政処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に行わなければなりません。また、地方裁判所への取消訴訟は、原則として、処分等を知った日から6か月以内で、かつ処分等の日から1年以内に提起しなければなりません。 -
(3)青切符や赤切符の違反行為を争いたいとき(刑事手続)
① 青切符の違反行為を争いたいとき
青切符の交付を受けたものの、その違反行為に納得できず争いたいときは、反則金の納付を拒否しましょう。反則金の納付を拒否した場合には、刑事手続きに移行することになり、警察等が違反行為について別途取調べ等の必要な捜査をしたうえで、検察官が起訴、不起訴の判断をすることになります。
不起訴処分となればそれで事件は終了となります。他方、検察官が起訴すべきであり、かつ、罰金相当と判断した場合には、略式命令手続とすることに異議がないか確認されることになりますが、略式命令手続は簡易な手続き、つまり、実際上は、起訴された方の言い分が詳細に検討されないまま判断されてしまうので、あくまでも違反行為を争いたい場合には、異議があると述べることになるでしょう。
その上で、検察官が正式裁判として起訴すべきと判断した場合には、正式裁判で違反事実の存否を争うことになります。
② 赤切符の違反行為を争いたいとき
赤切符の交付を受けたものの、その違反行為に納得できず争いたいときには、赤切符に記載のある指定の日時に裁判所に出頭し、警察、検察の取調べで違反行為をしていないと供述することになります。また、略式命令手続について異議がない旨の申述欄には書面しない対応が必要でしょう。
その場合には、警察等が違反行為について別途取調べ等の必要な捜査をしたうえで、検察官が起訴、不起訴の判断をすることになります。不起訴処分となればそれで事件は終了となりますが、検察官が起訴すべきと判断した場合には、正式裁判を受けて違反行為の存否について争っていくことになります。
4、まとめ
今回は、違反切符を交付されたときの流れや違反切符の種類について解説しました。違反行為を認めているのであれば、反則金の納付をきちんと行い、できる限り前科が付かないようにするのが得策でしょう。もっとも、違反内容に納得がいかないときには、しっかりと争っていくことも重要です。そのときには、専門家である弁護士のサポートを受けながらすすめていくとよいでしょう。
違反切符のことでお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスまでお気軽にご相談ください。
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