痴漢容疑として強制わいせつ罪で逮捕されても、不起訴処分を勝ち取る方法
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警察に痴漢容疑で逮捕されたとしても、そこであきらめてはいけません。なぜなら、逮捕されてもまだ不起訴処分になる可能性が残っているからです。
様々なケースに応じて適切な対処方法は異なることにはなりますが、不起訴処分を勝ち取るために何をするべきなのか、どういった方法がベストなのか、弁護士が分かりやすくご説明します。
1、どうしよう痴漢で逮捕されてしまった!
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(1)逮捕直後の対応
もし、警察に痴漢で逮捕されてしまった場合、まずは、冷静に対処することが大切です。
特に、相手の言い分については、しっかりと記録として証拠を残します。
可能であればボイスレコーダー等で録音しておくことも重要です。
また、あなたの言い分がぶれないようにしましょう。
痴漢をやっていないのであれば、やっていない、痴漢をやってしまったのであれば、早い段階で被害者の方への謝意を示すことが重要になります。
いずれにしても、後から言い分が変化してしまうのは対被害者という意味でも、対検察官という意味でも適切ではありません。 -
(2)弁護士へ依頼するメリット
痴漢容疑で逮捕された場合、不起訴処分を手にするには、何よりも示談の成立が重要なポイントとなります。
当事者、あるいはご家族で被害者の方と交渉すると、どうしても感情的になってしまい、交渉がうまくいかず、示談まで時間がかかる場合が少なからずあります。
もちろん、被害者の方が弁護士に対して感情的にならないわけではありませんが、少なくとも加害者とされる方本人ではなく代理人ですし、(刑事事件だけではなく民事事件も含めた)裁判を見据えた冷静な姿勢で話すことができます。
早期の身柄開放、及び不起訴処分に向けては、弁護士を経由して早期に示談することが望ましいといえます。 -
(3)弁護士へ依頼する方法
あなたの知人や友人、若しくは、ご家族のお知り合いに弁護士がいるのであれば、その方に依頼するのもよいでしょう。
ただし、相談料、弁護士費用、連絡の頻度といった面からも、検討した方が良い場合があります。刑事弁護の経験が全くない弁護士に依頼するよりは、経験豊富な解決実績をもっている弁護士に依頼した方が頼もしいものです。
何よりも信頼できる弁護士に依頼することが重要ですので、お知り合いの弁護士だけでなく、刑事弁護の取扱いが多い弁護士も含めて比較検討した方が良いでしょう。
刑事事件は特にスピード対応が重要になります。
時間だけ経過してしまって頼りない弁護士に依頼するよりも、もっともスピーディーな解決が望めそうな弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士のツテが残念ながらない、というような場合には、インターネットで「刑事事件 弁護士」と検索して、刑事弁護に明るい弁護士を探すのが最も早い方法です。
ただ、得意分野に「刑事事件」と記載しているからといって、実際にその弁護士が刑事弁護に強いかどうかは分かりません。可能であれば、口コミを見つけ、その中で信用できる弁護士に相談に行ってみる方が良いでしょう。
本来であれば、複数の法律事務所を回り、複数の弁護士と会ってみて、それぞれの見積りなどを聞いた上で、最も信用できると感じた弁護士に依頼すべきです。
しかし、刑事事件の場合、時間の制約があることも事実ですので、その辺りは慎重に判断されたほう良いでしょう。
2、前科がつかない?不起訴処分とは
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(1)起訴処分と不起訴処分
痴漢事件に限ったことではありませんが、警察は逮捕(身柄の確保)から48時間以内に検察官に事件を送致しなければなりません。これがニュース等でよく「送検」と表現されるものです。
その後24時間以内に検察官が被疑者の勾留(こうりゅう)請求をするかどうかを判断することになります。その上で検察官が捜査をし、被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断します。
起訴になれば、そのまま刑事裁判手続に乗ることになり、最終的には裁判官による判決を受けることになります。
不起訴処分になれば、勾留されているのであれば釈放されることになりますし、在宅事件であればそのまま生活することができます。
前科もつきませんので、なんとか不起訴処分に持っていくことが非常に重要になるといえます。 -
(2)起訴猶予とは
起訴猶予処分とは不起訴処分の一種です。
起訴猶予とは、犯罪があった事実そのものは認められる場合であっても、被害者が宥恕(ゆうじょ)といって、加害者である被疑者の処罰を望まない事情があるような場合や、被疑者の反省の程度が深く、再犯の可能性がない等の事情を考慮し、不起訴処分相当と検察官が判断した場合を意味します。 -
(3)示談とは
示談とは、加害者と被害者の間で交わされる合意のことを意味します。
刑事事件の場合、基本的には加害者が被害者に対して金銭弁償をする内容になります。
また、多くの場合、謝罪文言を挿入することにもなるでしょう。
一方で、被害届や刑事告訴の取下げ、民事事件での提訴をしない、といった加害者にとって有利な条項を挿入することにもなります。
示談については、一概に痴漢事件だから○○円、といった相場があるわけではありません。
あくまで示談は当事者間の同意でなされるものですので、当事者双方が納得する必要があります。どのタイミングでどういった金額で示談するのかを弁護士に相談しながら決める必要があるでしょう。 -
(4)痴漢を認めた場合の不起訴処分
痴漢を実際にしてしまい、かつ、被疑者が痴漢を認めている場合に不起訴になるかどうかは、示談の成否が大きく関係します。
迷惑防止条例違反や強制わいせつ罪は、被害者の個人的な法益(身体的なもの、精神的なものを含みます)を保護法益、つまりはこれらを守るために制定されているものです。
そのため、被害者と示談が成立し、本件が被害者にとって解決している、と検察官にみなされれば、検察官にとっても、当該事件を刑事事件として立件する必要性が低くなり、不起訴処分になる可能性は高くなります。
ですので、痴漢をしたとしても不起訴処分となることは可能なのです。 -
(5)痴漢を認めない場合の不起訴処分
「私は痴漢をしていない!」と痴漢冤罪(えんざい)を主張する場合には、起訴か不起訴か、というのは検察官がどの程度の証拠を集められるかによって変わってきます。
日本の刑事裁判では、刑事被告人の責任については検察官が立証します。
つまり検察官が証拠を用いて合理的な疑いを入れない程度に裁判官を説得しなければなりません。
そのため、被害者の供述に矛盾がある場合には、証拠不十分で不起訴とする可能性が高くなります。
そういった意味でも、可能な限り、事件直後の被害者の供述を確認しておく必要があるのです。
その他にも、被疑者本人の供述が一貫していることが大切です。
例えば、被害女性と乗車位置が遠く、とうてい痴漢などできる距離ではなかったので物理的に不可能であるなどと、あなたが検察官に説明し、検察官がこれを覆す証拠を集めることができなければ、不起訴になります。
もし、あなたが警察に痴漢容疑で逮捕された場合、冤罪(えんざい)であることを主張し、相手を納得させるために証拠上も説得的に論じることが、痴漢冤罪事件で不起訴処分を勝ち取るために非常に重要になります。
3、在宅事件と身柄事件
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(1)在宅事件とは
在宅事件とは、逮捕や勾留などされない事件を指します。
逮捕・勾留されなければ、自宅で通常どおり生活することができます。
もっとも、検察官や警察官からの呼び出し・捜査には応じる必要がありますし、在宅事件であっても起訴されることもあり、起訴となれば、裁判の日には裁判所に出廷する必要があります。
また、在宅事件であっても、判決の結果、収監される可能性もありますので、安心しきってはいけません。 -
(2)在宅事件のメリット・デメリット
何よりも自由に行動できることがメリットです。
例えば弁護士との打ち合わせ一つとっても、弁護士が警察署などを訪れるのではなく、法律事務所でアクリル板もなく打合せすることができますし、携帯電話で緊密に連絡をとることも可能です。
また、「実際にその乗車位置で被害者を触ることができたのか?」等の実験をすることができます。痴漢冤罪事件を証明するべく被疑者本人の記憶を忠実に再現して証拠を立証する実験を行うことができるのです。
そうすることで弁護人としては不起訴に向けた証拠の準備などもしやすくなるといえます。
在宅事件となれば、友人や恋人、また職場へ知られる可能性もグッと減ります。 -
(3)身柄事件
身柄事件とは、在宅事件とは異なり、被疑者が警察署などの施設に留め置かれてしまう事件のことです。その目的は証拠隠滅の防止と逃走防止にあります。
痴漢被疑事件のように、現行犯で逮捕されてしまっているような事件の場合、突発的な事件ですので、そこから捜査が開始されることになります。 -
(4)身柄事件のメリット・デメリット
痴漢被疑事件の場合、身柄事件になることのメリットはありません。
デメリットとしては、外部との連絡が自由に取れないこと、家族等の面会については制限がかかってしまい、場合によっては面会ができないような場合もあることなど、計り知れません。
また、職場へは当然出勤できないことになりますので、場合によっては退職勧奨等をされるかもしれません。そのまま有罪になれば解雇等も職場において検討されてしまうことになるでしょう。
4、強制わいせつ罪とは
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(1)強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反の違い
強制わいせつ罪は刑法上定められている犯罪であり、13歳以上の男女に暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、または13歳未満の男女にわいせつな行為をすることで、6月以上10年以下の懲役に処せられることになります(刑法176条)。
これに対して、迷惑防止条例違反は条例違反ですので、各都道府県ごとにその罪の重さも異なります。
強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反の違いとして、下着の中に手を入れたり、性器を露出させたりしたかどうかであるといわれることもありますが、必ずしもそうとは限りません。
ただ、重い行為を行えば強制わいせつ罪で処罰されます。 -
(2)強制わいせつ罪を認めた場合の不起訴処分
上述したように、強制わいせつ罪に該当する行為を行ってしまった場合に、不起訴処分になるためには、示談の締結が必須といえるでしょう。
示談が成立すれば、保護法益の点から考えても、検察官は不起訴処分にする可能性が高くなります。 -
(3)強制わいせつ罪を認めない場合の不起訴処分
この場合には否認の仕方も二通りあると思います。
- 自分は痴漢行為をしていないとして、完全な冤罪を主張する場合 上記の場合と同様、被疑者自身がやっていない、という証拠を集めることになるでしょう。
- 痴漢そのものはやってしまった場合 迷惑防止条例違反にとどまる、という場合で、強制わいせつと言われるほどではないが、痴漢そのものはやってしまった、という場合があり得ます。
また、被害者の方の言い分についてもしっかりと記録しておく必要があります。
この場合、強制わいせつに当たるかどうかは法律上の評価ですので、弁護士に相談し、強制わいせつに当たるのかどうか聞いてみるとよいでしょう。
いずれにしても、痴漢行為をしているのですから、痴漢行為をしたことについては認めた上で早期に相手と示談の可能性を探り、お互いの納得する形で示談することが不起訴処分への近道となるでしょう。
5、弁護士費用の相場
弁護士費用は、法律事務所ごとに報酬基準が定められていますので、その基準によることになります。
多くの法律事務所は、弁護士に依頼した時点で発生する着手金と、最終的な処分の時点で発生する報酬金を得る形になっています。
迷惑防止条例違反事件は被疑者国選の対象事件ではありませんので、早期に弁護士が弁護人として活動するためには、私選弁護人としての契約を締結するしかありませんが、起訴後であれば国選弁護人が付きます。
強制わいせつ事件は被疑者国選の対象事件ですので、資力が乏しい場合(現預金合わせて50万円未満)には、国のお金で弁護人を付けてもらうことができます。
ただ、資力がそれなりにある場合には、国のお金で弁護人を付けてもらうことはできませんので、私選弁護人を探す必要があります。
今回のような痴漢容疑の刑事事件に限らず、最終的に弁護士に委任する場合には、必ず弁護士との間で委任契約書を交わすことになります。
その内容をしっかりと確認し、疑問点があれば弁護士に説明を求めた上で、納得して委任契約書に判子を付くことが何よりも重要といえます。
6、ご家族が痴漢容疑で逮捕されてしまったら
ご家族が痴漢容疑で逮捕され、特に勾留されてしまった場合、早期の示談締結が最も早い解決方法になります。
もっとも、痴漢被疑事件があくまで冤罪である場合には、示談を成立させるべきではありません。
痴漢の冤罪事件が起きてしまった際の対応として必要なことは、
- 被疑者となってしまったご家族が実際に痴漢をしたのかしていないのか
- 会社や職場への連絡をどうすればいいか
- 示談するとした場合の示談金をどれだけ準備できるのか
といったことをスムーズに、かつ、スピードを持って対応を行うことです。
そして、特に会社や職場に影響が出ない方法を考える必要があるでしょう。
もし、逮捕・勾留された場合でも、痴漢被疑事件は残念ながら被疑者国選の対象事件ではありません。当番弁護士が出動しますので、その弁護士と私選弁護人としての契約を結ぶか、ご家族が探してきた弁護士と私選弁護人としての契約を結ぶことになります。
ご家族が弁護士を探す際には、お知り合いの弁護士に依頼するのがスピード・信頼の面で最も適していると思います。
しかし、お知り合いに弁護士がいない様な場合については、刑事事件について実績が豊富な弁護士をネットなどで探し、あたってみるのがいいのではないでしょうか。
痴漢で不起訴処分を勝ち取りたい時まとめ
痴漢被疑事件で不起訴処分を勝ち取るためには、実際に痴漢をしてしまっているときは何よりも示談の成立が有効なことは確かです。
これに対し、実際に痴漢をしていない場合には、示談するということは実質的に痴漢したことを認める結果になってしまうことが多く、一般的には妥当な解決方法ではありません。
もちろん、早期解決すれば、職場復帰が容易になるといったメリットもあります。
しかし、真実として痴漢容疑が冤罪(えんざい)である場合には、その後の捜査、裁判の見通しについて、刑事事件や痴漢容疑、痴漢冤罪に詳しい弁護士に相談する必要があるでしょう。
その上で、どういった対策を取るのがベストなのか、よく相談することが何よりも重要といえます。
ベリーベスト法律事務所 大阪支店には、元検事の弁護士も所属しており、豊富な刑事事件の解決実績があります。もちろん、多くの痴漢事件を解決に導いてきました。
痴漢事件に巻き込まれて、早期解決を図りたい場合、仕事や生活に支障がでないようにしたい場合には、ぜひご相談ください。
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