盗撮で逮捕されるパターンと弁護士に早期に相談すべき理由とは?
- 性・風俗事件
- 盗撮
- 逮捕
盗撮による逮捕のニュースを新聞やテレビでよく見かけますが、警察に逮捕された人はその後どうなったかについて報道されることはまずありません。
逮捕された人は、どのような罪に問われ、有罪もしくは無罪となったのか、間違って逮捕された場合はどうなるかなどについて気になる人もいるかと思います。また自分が被疑者として逮捕された場合のことを考えると、盗撮による逮捕後のことは気になるのではないでしょうか。
警察に逮捕された被疑者の立場から、逮捕後の流れのほか、被害者と示談交渉をする際に弁護士に依頼するメリットについて解説いたします。
1、盗撮で逮捕されるパターン
-
(1)盗撮罪という罪はない
盗撮をすると警察に逮捕されるので、何らかの犯罪が成立することは間違いありませんが、盗撮罪という罪は現行の刑法にはありません。ただし、その行為態様により他の犯罪が成立する可能性はあります。
-
(2)盗撮で逮捕されるパターンとは?
盗撮する場合でもいろいろな行為態様がありますが、盗撮で逮捕されるのは以下のパターンです。
① 迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は、都道府県ごとに制定されている条例で、その内容は少しずつ異なりますが、盗撮行為について罰則が定められています。
東京都の条例では、「公共の場所、公共の乗物その他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗り物」における「人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」をしたときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処すると盗撮行為の処罰について規定されています。具体的には、電車や駅、バスの中などでカメラやスマホでスカートの中などを撮影する行為が該当します。
迷惑防止条例違反における盗撮行為に該当するかどうか判断する際のポイントは以下の3点です。●公共の場所又は公共の乗り物
迷惑防止条例は、公共の場所や乗り物での盗撮行為を取り締まることを目的としています。盗撮が行われる典型的な場所としては、駅や電車、バスの中、エスカレーター、エレベーター、公園、道路、デパート、飲食店、書店などです。
なお、神奈川県などの自治体では「公共の場所以外の場所」で盗撮が行われた場合でも迷惑防止条例により処罰されることがあります。●通常衣服で隠されている下着又は身体
カメラなどで撮影する対象は、原則として「人の通常衣服で隠されている下着又は身体」です。
ただし、例外として服を着ている人あっても「人を著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせる」行為に該当すると、たとえ衣服の上から撮影しても盗撮行為になることがあります。たとえば、衣服で隠された女性のお尻を撮影することは、「人を著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせる」行為に該当すると判断した判例があります。●撮影
条例で処罰されているのは撮影行為自体ですが、多くの自治体で撮影するためにカメラを向けたり設置したりする行為も処罰されています。単に、カメラやスマホを向けただけでは盗撮になることはまずありませんが、疑われる可能性があるので注意しましょう。
② 軽犯罪法違反
軽犯罪法では、通常衣服をつけないでいるような場所を、正当な理由もなくのぞく行為が処罰されます。
たとえば、住居やお風呂、トイレ、脱衣所、更衣室などで盗撮を行うと、軽犯罪法の窃視(のぞき見)の罪に該当します。よくあるのが、女子トイレ内をビデオカメラで撮影するケースです。③ 住居侵入罪・建造物等侵入罪
刑法130条では、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入」した場合、刑法の住居侵入罪・建造物等侵入罪に該当すると定めています。
たとえば、高校教師が女子トイレに侵入して盗撮したケースでは、建造物侵入罪・迷惑防止条例違反で処罰されます。また、盗撮目的で他人の住居やトイレに侵入したケースでも、住居侵入罪・建造物侵入罪が成立することがあります。④ 児童買春・児童ポルノ法違反
盗撮する対象が18歳未満の者であれば、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」違反により処罰される可能性があります。
児童ポルノとは、「児童の性交している姿態」「児童の性器や児童が他人の性器を触っている姿態」「裸や半裸の児童の姿態」を描写した写真や電子データなどのことです。これらを所持・保管・提供・陳列・製造すると、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」違反により処罰されます。
例えば、小学校にてデジタルカメラで女子児童を盗撮した場合、児童買春・児童ポルノ法違反で処罰されます。①~④のどの犯罪に該当するかは、各道府県の条例や盗撮した場所、盗撮対象によって決まってきます。
2、盗撮で逮捕されてからの流れ
盗撮の疑いをかけられて起訴・不起訴が決定されるまでの期間は、最大で23日となっています。以下では起訴処分・不起訴処分が決定するまでの手続きの流れを順に説明していきます。
-
(1)警察からの取り調べ
逮捕から48時間以内の間、に警察で容疑内容について取調べを受けます。
-
(2)検察庁での身柄拘束
警察での取調べが終わり、釈放されなかった場合、被疑者の身柄は警察から検察庁へ送られ、検察庁で取り調べを受けます。検察官は被疑者の送致から24時間以内(逮捕されてから72時間以内)に釈放するかどうかを決定します。
証拠隠滅のおそれがなく、逃亡のおそれもないと判断された場合、家族がおり、定職に就いているなど、身柄拘束を継続することが被疑者に酷な場合には釈放となることもあります。検察官が被疑者の身柄を拘束して捜査する必要があると決定した場合、裁判官に10日間の勾留請求を行います。請求を受けた被疑者は、当日か翌日に裁判所へ移送され、裁判官の面接を受けます(勾留質問)。裁判官は検察官からの請求を正当と判断した場合は、10日間の勾留を決定します。
検察官は10日間に渡って事件の捜査を行いますが、さらに捜査する必要があると判断したら勾留期間の延長を請求します。その際の手続きですが、最初の勾留請求と同様に裁判官に請求します。その請求を裁判官が正当と判断すると、さらに最長で10日間に渡って被疑者は身柄を拘束されます。
したがって、検察の捜査が終わらなかった場合、最大20日間勾留され、逮捕から最大23日間拘束されることがあるということです。
-
(3)起訴・不起訴が決定
逮捕されてから最大で23日以内に、検察官は起訴・不起訴の決定をする必要があります。不起訴処分となると、刑罰を受けずに釈放されますが、起訴されると裁判が行われて有罪・無罪の判決が下されます。
盗撮で逮捕されても、初犯で被害者との示談が成立していれば、ほとんどのケースは不起訴になります。また、たとえ示談が成立していない段階で裁判になっても、罰金刑となる場合がほとんどです。
3、盗撮で逮捕されたら弁護士へ依頼しよう
-
(1)逮捕後、72時間以内に接見できるのは弁護士のみ
逮捕されてから勾留決定されるまで、ご家族でも面会することはできません。また、逮捕後72時間以内に釈放されないと、最大で20日間勾留される可能性があります。長期間拘束が続きますと、勤めている会社や学校生活に影響を及ぼす可能性は非常に高いといえるでしょう。
逮捕されてから、72時間以内に接見できるのは弁護士のみですので、身柄釈放・不起訴処分を目指すのであれば、なるべく早く弁護士へ依頼することが重要となります。
-
(2)当事者同士での示談成立は難しい
刑事事件での当事者同士の示談は難しく、被害者が被疑者との接触を拒否するケースがほとんどです。当然のことですが、被害者としては、盗撮行為をした相手から直接話し合いを要求されても、「会いたくない」「関わりたくない」という気持ちがあるからです。
また、盗撮内容によっては警察から接触を禁止されることもあります。これは当事者同士で示談交渉することで、被害者の住所を被疑者に知られてしまい、危害を加えられるのを防止するためです。
-
(3)身柄釈放・不起訴処分に向けた弁護活動が可能
逮捕されてしまった場合、弁護士は被害者との示談交渉や、本人がしっかり反省していることを検察官に伝え、不起訴処分に向けての活動を行います。また、捜査機関などに対してどのよう答えたらよいのかなど、受け答えに関して具体的なアドバイスも受けることが可能です。事前に弁護士からアドバイスを受けていれば、落ち着いて発言することができ、不測の事態に備えることができます。
まとめ
今回は被疑者の立場から、逮捕後の流れのほか、弁護士に依頼するメリットについて解説しました。
盗撮は犯罪としては罪が軽く、大きな事件となりにくいため、逮捕後に適切な対応をすれば早期に解決できます。しかし、適切に対応しないでいると勾留期間が長くなり、社会的不利益を被ることがあります。もし盗撮で警察に逮捕されたら、きちんと反省し、早期に事件を解決するためにも、早い段階で刑事事件の経験豊富な弁護士への依頼をおすすめします。ベリーベスト法律事務所大阪オフィスでは、盗撮に関する法律相談を無料で承っています。刑事事件の解決はスピードが命です、お早めにご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています