身内が投資詐欺で逮捕された場合、家族はなにをどうすればいい?

2019年09月30日
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身内が投資詐欺で逮捕された場合、家族はなにをどうすればいい?

大阪は東京に次ぐ、日本で2番目に大きな都市です。人口も多く、経済的にも非常に発展していますが、その分、犯罪の発生率も高い状況にあります。詐欺の被害も多く、大阪府の広報でも注意を呼び掛けています。

なお、詐欺事件に関しては「よいアルバイトがある」などと誘われて、詐欺と知らずに巻き込まれるケースが少なくないようです。もし、あなたの身内が投資詐欺で逮捕されてしまった場合、家族としてこの問題にどのように対処すべきなのでしょうか。

オレオレ詐欺なども横行している昨今、ご家族が事件に巻き込まれる可能性は常に潜んでいて、もしお子さんが未成年であったとしても決してひとごとではありません。そこで、ここでは投資詐欺の基礎知識と、早期に弁護士に刑事弁護を依頼することのメリットについて、大阪オフィスの弁護士が紹介します。

1、投資詐欺とは

まずは基本的な知識として投資詐欺について解説します。

  1. (1)概要と主な手口

    投資詐欺とは、いわゆる「詐欺」の手口の一つです。いわゆる「うまいもうけ話」をもちかけ、お金をだまし取ることなどを総称して「投資詐欺」と呼ばれています。

    具体的には、過去の事例から、以下のような誘い文句でお金をだまし取ろうとする手口が投資詐欺とみなされる可能性があります。

    • 東南アジアのエビ養殖場に投資すれば年利20パーセントの利子がつく
    • 新規上場予定の未公開株を安く買って上場後に売却すれば多額の売却益がでる
    • 宝くじやパチンコの必勝法がある
    • 内容の希薄な投資セミナーに高額な受講料を払わせる
    • 虚偽の事業に対する出資を募る
    • 実態のない会社の株式や社債を売りつける


    このように、投資詐欺にはさまざまな手口があります。

    近年の投資詐欺では、最初は利益を還元してすっかり信じ込ませたあと、さらにお金を巻き上げた末、最終的には音信不通になるケースが多いようです。結果として巨額のお金をだまし取られたなどという手の込んだケースもあります。

    いつの時代も、人間はもうけ話になると冷静な判断力を失ってしまうためか、もうけ話をチラつかせて金銭をだまし取るものが多いようです。うまい話には軽率に乗せられないよう、注意しましょう。

  2. (2)事件の傾向

    一般的には株式や不動産の売買に絡むもうけ話が多く見られます。最近では仮想通貨の購入などの投資詐欺が散見されているようです。

    詐欺の内容にもブームがあり、投資対象となるものはその時代の世相を映す鏡といえるでしょう。

  3. (3)詐欺罪の重さ

    刑法上、投資詐欺罪という犯罪の設定はありません。投資詐欺は刑法第246条で定められている「詐欺罪」として罪を裁かれることになります。

    詐欺罪として有罪になったときは、10年以下の懲役を科せられることになります。罰金刑の設定がないため、執行猶予付き判決をえられない限り、必ず刑務所で服役することになるでしょう。

    さらに、結果的に金品をだまし取れなかったとしても、詐欺の実行行為を始めた時点で「詐欺未遂罪(刑法第250条)」として罪を問われることがあるでしょう。この場合も、詐欺罪と決定刑は変わらず、10年以下の懲役に科される可能性があります。

2、投資詐欺で逮捕後に身内が取るべき行動

それでは、実際に身内が投資詐欺で逮捕された場合、家族はどのような行動を取るべきなのか、ご存じでしょうか。

まず、詐欺容疑をかけられた被疑者が逮捕されると、まずは原則48時間、警察で取り調べを受けます。嫌疑が晴れなければ、事件や身柄は検察へ送致され、さらに24時間の間、取り調べが行われることになります。そして、この合計72時間は、通常は身内の方でも「接見」と呼ばれる面会が制限されてしまいます。

しかし、この間であっても唯一自由に接見が行える者がいます。それが弁護士です。

一般的に詐欺事件に関しては、手口が悪質化していることもあり、非常に厳しい取り調べが行われる傾向があります。誰にも会えない状況の中で、たったひとりで受ける取り調べに耐えられず、「やってもいない犯行を自白させられてしまう」というケースもあるでしょう。しかし、たとえその場しのぎの言葉であっても、それらはすべて犯行の証拠になってしまいます。もちろん、後の裁判でも証拠とされ、重い刑罰を受ける結果にもなりかねません。

そのような事態を防ぐためにも、一刻も早く弁護士に相談し、まずは接見を行うための準備を進めてください。弁護士が接見を行えば、直接話をしながら、今後の方針を決め、家族への連絡窓口になり、取り調べに対するアドバイスや今後の捜査取り調べ等で不安な点について助言などを受けることができます。

3、弁護士に依頼するメリット

もう少し具体的に弁護士を雇うメリットを、逮捕後の流れから見ていきましょう。

  1. (1)逮捕後の接見

    前述したように、逮捕後は身内であっても、最大72時間の間は面会をすることができません。しかし、弁護士であれば逮捕直後から、たとえ深夜や早朝であろうとも、時間の制限を受けずに接見をすることができます。

    法律の専門知識をもつ弁護士の助言を早期に受けられることは大きなメリットです。取り調べの対応や今後の方針なども、裁判などの展開も含め、安心して相談することができます。

  2. (2)職場や学校への対応

    逮捕後は、最大72時間は弁護士以外の人間と接見することができませんが、さらに身体を拘束して取り調べが必要と判断された場合、裁判所に勾留請求がなされます。それが認められると原則10日間、延長されるとさらに10日間、合計20日間身体拘束を受けます。

    つまり、逮捕後から23日間もの間、身体が拘束されることになります。そうなると、会社や学校を休まざるをえなくなり、逮捕の事実が知られてしまい、退職や退学などの事態に発展しかねません。

    弁護士はそうならないよう、裁判所や検察官に対し、被疑者に証拠隠滅や逃亡の恐れのないことを主張し、早期釈放を目指します。また、スムーズに社会復帰できるように会社や学校にも働きかけてくれます。

  3. (3)捜査機関への対応

    弁護士であれば、事件の詳細を聴取したり、無理な取り調べなど、違法捜査の疑いがあればけん制をしたりすることができます。起訴後は捜査資料の開示請求により、実際に行われる裁判に対して事前準備をすることができます。

    このように、捜査機関に対抗しうる準備ともいえる弁護活動を行えるのは弁護士の特権でもあります。十分に活用しましょう。

  4. (4)示談交渉

    示談とは、当事者同士の話し合いによって、事件の解決をはかるものです。詐欺事件のような財産犯では、起訴となるか不起訴となるかの決め手として、被害の弁償や示談といった要素が大きく左右します。

    たとえ起訴処分が見込まれるような事案であっても、被害弁償がなされ示談が成立していれば、不起訴処分となることもあるのです。示談交渉は、相手方との交渉術、そのタイミング及び示談金の大まかな相場情報など、やはり法律の専門知識をもった弁護士に相談することが、必要不可欠でしょう。

4、まとめ

詐欺事件で逮捕され場合、早期に弁護士を依頼することによってその後の明暗を分けることがあります。詐欺事件に限らず、刑事事件は時間との勝負といえます。最初にどのような手を尽くしたかで、その後の流れが大きく異なってしまうからです。

ご家族が逮捕されて困惑する方は多いでしょう。しかし、できる限り落ち着いて、まずは弁護士に早急にご相談ください。ベリーベスト法律事務所大阪オフィスでは、刑事弁護の経験が豊富な弁護士が親身になって相談に応じます。何か不安がある方はひとりで悩まず、まずはお気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています