窃盗事件で後日逮捕される可能性は?!窃盗罪になる前に弁護士へ相談した方がよいのか?

2018年02月07日
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窃盗事件で後日逮捕される可能性は?!窃盗罪になる前に弁護士へ相談した方がよいのか?

ついつい出来心で、人の物を盗んでしまった…。たとえば、万引きをしてその場では見つからなかったけれども、後日逮捕されることはあるのでしょうか?何度も窃盗事件を繰り返していると、どのような犯罪が成立するのかについても、知っておきましょう。

窃盗事件を起こしてしまったなら、弁護士に相談することが大切です。
今回は、窃盗事件で後日逮捕される可能性や、執行猶予を獲得する方法、示談を成立させるためのポイントについて、解説します。

1、窃盗事件とは

窃盗事件とは
  1. (1)窃盗罪が成立する要件

    窃盗事件を起こすと、窃盗罪によって逮捕される可能性があります。そこで、まずは窃盗罪とはどのような罪なのか、理解しておきましょう。

    窃盗罪は、他人が占有している財物を、不法領得の意思をもって、窃取したときに成立します(刑法235条)。以下で、具体的な意味内容を説明します。

    ◆他人が占有している
    窃盗罪の対象は、他人が占有している財物です。他人が占有しているというために、その人自身の所有物である必要はありません。たとえば、第三者から物を借りている人から物を取ると、その人(所有者ではなく借りていた人)に対する窃盗罪が成立します。
    そうではなく、落とし物を勝手にもらったとしても、窃盗罪にはなりません(ただし、占有離脱物横領という、別の犯罪になります)。

    ◆財物
    窃盗罪の対象になるのは、「財物」です。財物は、基本的には物理的な形をもった有体物を言いますが、液体や気体も空間を占める有体物ですので、財物となります。電気も有体物とされていますので(刑法245条)、勝手に他人の家で充電すると、電気窃盗となる可能性があります。
    これに対し、「情報」は財物になりません。たとえば、パソコン内に保管されている情報に勝手にアクセスしてダウンロードしても、窃盗罪は成立しません。(ただし、不正アクセス禁止法違反という別の犯罪になる可能性があります。)

    ◆不法領得の意思
    不法領得の意思とは、分かりやすく言えば、自分のものにしようとする意思です。
    そこで、自分のものにしようという気持ちがない限り、人から物を盗っても窃盗罪になりません。たとえば、他人の物を壊したり隠したりして相手を困らせてやろうと考えて物をとってきた場合には、窃盗罪ではなく器物損壊罪などが成立します。

    ◆窃取
    窃盗罪が成立するためには、「窃取」したことが必要です。窃取というのは、他人の占有する物を自己の占有に移すことです。
    これに対し、暴行や脅迫を使って物をとると強盗罪、あるいは恐喝罪となりますし、人を騙して物をとると詐欺罪になります。

  2. (2)窃盗罪の刑罰

    窃盗罪が成立したときの刑罰は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です(刑法235条)。

  3. (3)常習累犯窃盗とは

    窃盗を繰り返していると、常習累犯窃盗という罪が成立してしまうことがあります。

    常習累犯窃盗罪とは、窃盗行為を繰り返しているときに、特に厳しく処罰される犯罪です。「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」という法律に規定があります。常習累犯窃盗が成立するのは、以下の要件を満たすケースです。

    • 常習として窃盗をしている
    • 今回の窃盗事件から過去10年の間に窃盗罪で3回以上、6ヶ月以上の懲役を受けた、または執行の免除を受けた


    常習累犯窃盗になると、刑罰も重くなり、3年以上の有期懲役となります。有期懲役の上限は20年です。罰金刑はありません。

2、よくある窃盗事件のパターン

よくある窃盗事件のパターン

窃盗事件の例としては、以下のようなパターンがあります。

万引き / ひったくり / バイクや車の窃盗 / 下着泥棒 / 空き巣 / スリ / 倉庫に保管してある荷物を盗む / 資材置き場などに置いてある荷物を盗む

上記のようなものが代表的です。
ひったくりは、軽い気持ちで行う人もいますが、相手をケガさせると強盗致傷罪になってしまうおそれもあります。強盗致傷罪の刑罰は、無期または6年以上の有期懲役となっており、非常に重くなっています(刑法240条)。

3、窃盗罪で、罪が重くなるケース

窃盗罪で、罪が重くなるケース

窃盗罪の刑罰は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金となっており、かなり幅広いですが、どのようなケースで、罪が重くなるのでしょうか?

◆被害金額が高額
窃盗の対象となったものが高額であるほど、刑罰は重くなります。たとえば、3000万円程度のものを窃取すると、初犯でも執行猶予がつかず、数年間は刑務所に行かなければならない可能性が高くなります。

◆被害弁償していない
被害者に対し、被害弁償をしていないと、窃盗罪の刑罰は重くなります。なるべく刑を軽くするためには、早急に被害者と示談交渉を始めるべきです。

◆窃盗を繰り返している
何度も窃盗を繰り返していると、窃盗罪の刑罰は重くなります。特に、常習累犯窃盗になると、罪名も変わって大きく刑が上がります。

◆計画的で悪質
同じ窃盗でも、計画性があって悪質な場合、罪が重くなります。グループを作って大々的に窃盗行為を繰り返していたケースなどでも、重い刑罰を科されます。

◆被害感情が強い
被害者の怒りが強く、加害者に対して厳罰を与えてほしいと望んでいるケースでは、窃盗罪の刑罰が重くなります。

4、窃盗が後でバレる可能性

窃盗が後でバレる可能性

さて、窃盗行為をしたとき、現行犯逮捕されないことの方が多いです。後でバレることはあるのでしょうか?

実は、窃盗罪の検挙率は、そう高くはありません。平成28年度の犯罪白書によると、窃盗罪の検挙率は28%となっています。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/63/nfm/images/full/h1-1-1-02.jpg

ただ、そうだからといって、バレないということにはなりません。ひと言で窃盗と言っても、その内容や程度は千差万別です。

たとえば、軽微な万引きであればあまり捜査をされずに見逃されることもあるかもしれませんが、重大な被害が出ていたら、警察も力を入れて捜査をするので見つかる可能性が高くなります。

また、お店や駐車場などで監視カメラに写っていたら、簡単に見つかって逮捕されてしまうでしょう。今は、至る所に監視カメラが設置されている社会ですから、今後、窃盗事件を起こすと逮捕される可能性が上がっていくとも考えられます。

5、弁護士に相談するメリット

弁護士に相談するメリット

窃盗事件を弁護士に相談すると、大きなメリットを得られます。

  1. (1)アドバイスを受けられる、刑事弁護を依頼できる

    弁護士に相談すると、逮捕前なら必要なアドバイスを受けられるので、適切な行動をとれるようになりますし、逮捕後であれば、刑事弁護人を依頼することができます。

    弁護士であれば、被疑者と自由に接見ができるので、今後の対応についてしっかりと打ち合わせをして防御活動を展開していくことができます。

  2. (2)被害者と示談できる

    被害者との示談を進められることも、弁護士に依頼する大きなメリットです。加害者やその家族が示談をしようとしても、被害者は応じてくれないことが多いですが、弁護士であれば、相手も話し合いに応じやすいです。

  3. (3)不起訴を狙える

    弁護士がついていたら、不起訴処分を狙いやすいです。窃盗罪でも、示談ができていると、不起訴にしてもらえることが多いからです。弁護士を雇って、早めに被害者と示談をしてしまうことが、早めに身柄を解放してもらうための有効な対処方法となります。

  4. (4)執行猶予を狙える

    起訴処分となって被告人になってしまった場合でも、弁護士に弁護活動をしてもらうことが有効です。

    起訴後であっても、被害者と示談交渉して被害弁償することにより、大きく刑を減軽してもらうことが可能となります。本来実刑のケースでも、示談ができていると執行猶予がつくことが多いです。
    以上のように、窃盗容疑がかかっているときには、弁護士への法律相談が有効ですので、早めに法律事務所に連絡を入れて、刑事弁護を依頼しましょう。

6、執行猶予を獲得する方法

執行猶予を獲得する方法

窃盗事件で逮捕されると、刑事裁判になってしまうことがあります。その場合、執行猶予を獲得しないと、刑務所に行かなければなりません。

特に、窃盗前科があると、実刑になる可能性がかなり高くなってしまいます。

窃盗事件で執行猶予判決を獲得するために重要なのは、被害者への被害弁償です。

窃盗罪は、物を盗むという犯罪なので、その被害品を返したり価格弁償をしたりすると、一応被害回復したことになります。もちろん、後で返したからと言って、窃盗がなかったことになるわけではありませんが、被害弁償をすると、相当執行猶予になる可能性が上がります。

また、社会内に戻ったときにしっかり監督する人がいることも重要です。たとえば、一緒に住む家族がいるのか、勤務先の当てはあるのかなどが評価の対象となります。

7、示談を成功させるためのポイント

示談を成功させるためのポイント

窃盗事件を起こしたとき、なるべく刑を軽くするためには被害者と示談することが重要です。起訴前に示談ができたら不起訴処分になる可能性が上がりますし、起訴後に示談ができたら執行猶予になる可能性が上がります。

数百万円以上の物品を盗んだ場合、示談をしなければ、初犯でも実刑になってしまう可能性が高いので、刑務所に行きたくなければ必ず示談交渉を進めましょう。

示談をするときには、まずは、弁護士に依頼して、弁護士経由で被害者に連絡を入れます。このとき、被疑者(被告人)が書いた謝罪文を一緒に入れることもあります。
心から反省をしていて申し訳なく思っていること、二度と犯罪を繰り返さないこと、是非とも被害弁償をしたいことを書き入れます。

そして、弁護士を通じて、弁償金の金額を決めてもらいます。
被疑者被告人には、全額の被害弁償ができるだけの資力がないことも多いので、そういったケースでは、どこまで支払うのか、交渉が必要となります。場合によっては分割払いにするケースもあります。ただし、早期に全額支払いをした方が、情状は良くなります。

示談が成立したら、示談書を作成して、示談金を支払います。同時に嘆願書も書いてもらうよう交渉します。

このようにして、示談ができたら、弁護士から検察官や裁判所に示談書や嘆願書を提出してもらいます。このことにより、不起訴処分や執行猶予判決を獲得する可能性が高まるのです。

以上のように、窃盗事件を起こしたときに、なるべく刑事処分を軽くするには弁護士によるサポートが重要です。今は逮捕されていなくても、被害届が提出されたら、逮捕されてしまう可能性があります。心当たりがあるなら、早めに弁護士に相談しましょう。

ベリーベスト法律事務所でも、窃盗事件を非常に得意としており、多くの方の刑事裁判で不起訴処分や執行猶予判決を勝ち取ってきました。窃盗容疑がかかっているなら、まずは一度、法律相談のご予約をしてみてください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています