追突事故の被害者が事故後にすべき対応や慰謝料請求について解説

2024年12月10日
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追突事故の被害者が事故後にすべき対応や慰謝料請求について解説

一般財団法人大阪府交通安全協会が発表した「大阪の交通白書 令和5年版」によると、大阪府において、令和5年の事故件数・死者数・負傷者数はいずれも前年より増加しました。

最近の自動車は、自動ブレーキなどの衝突を回避する技術が普及してきました。そんな現在でも、交通事故の類型の中でもっとも多いのが追突事故です。被害者にしてみれば、ただ赤信号で停止していただけというケースも多く、その被害は防ぎようがないことがほとんどです。

では、そんな追突事故の被害に遭ったとき、被害者は何をすればいいのでしょうか。
本記事では、追突事故後に被害者がするべき対応について、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士が解説します。


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1、交通事故で追突されたときにすべきこと

まずは追突事故にあった場合の流れについて、順番に説明します。

  1. (1)まずは119番と110番

    後方から追突の衝撃を受けたら、まずは落ち着いて道路脇に車を止めます。多重事故に発展する危険もあるため、周囲の状況を確認して安全を確保しましょう。
    その後、すぐに治療が必要な重傷者がいる場合は、119番をして救急車を呼びましょう。
    そして、交通事故が起きたときは直ちに警察に報告する道路交通法上の義務があるため、110番をして警察に来てもらいましょう。

  2. (2)相手方との連絡先交換、本人確認も忘れずに

    警察が来るまでの間に相手方と連絡先の交換をします。相手方の車のナンバーも控えておいた方がいいでしょう。相手方からは、氏名と連絡先だけでなく、保険会社も聞いておきましょう。
    連絡先の交換では、名刺をもらうことに加え、免許証も見せてもらうなど、本人であることの確認も忘れずにしてください。

  3. (3)ロードサービスの手配

    車に自力走行が難しい程度の破損があったり、ライトが壊れていたりすることもあります。そのような場合はレッカーが必要になるため、日本自動車連盟(JAF)や自動車保険のロードサービスの手配の電話をしておくことも必要です。

  4. (4)証拠の保全

    そうしている間に、119番をしていれば救急車や警察が到着するでしょう。ケガをしていればそのまま救急車に乗ることになります。そうでなければ、現場で警察の聴取が始まります。
    警察に聞かれたことは、事実を述べてありのままを伝えます。場合によっては、その場で簡単な現場検証が行われたりもします。
    このとき、警察が来る前に救急車で運ばれていれば、現場検証は後日行うことになります。

    現場にとどまっているのであれば、車の破損箇所をスマートフォンのカメラで撮っておきましょう。その場で損傷の程度を証拠として残しておけば、事故後に別の原因でついた傷であると疑われることを避けられます。同様に、相手の車の損傷箇所を撮影しておいてもいいでしょう。
    相手の車の損傷状況も、自分の車の損傷と整合するかどうかの証拠になるため、自分の車の損傷が、この事故によって生じたものではないのではないかと疑われることを避けられます。

  5. (5)保険会社への事故報告

    現場での作業が落ち着いたら、自分の加入する任意保険会社に事故の報告をしましょう。保険の契約をした代理店に電話してもいいですし、保険会社のコールセンター(通常は24時間対応)に電話しても構いません。
    保険代理店やコールセンターのオペレーターは事故対応に慣れているため、その場ですべきことなどをアドバイスしてくれます。

    事故を起こすと保険の等級がダウンして、保険料が上がってしまうと心配する方もいるかもしれません。しかし、事故を起こしただけでは等級はダウンしません。等級ダウンは、あくまで保険を使ったときだけです。

    また、保険を使うといっても、使う費目次第では等級がダウンしないことがあります。
    特に、追突事故の被害の場合、基本的には加害者から補償を受けられるため、そもそも保険を使う必要がないケースも多いです。
    加害者からの補償とは別に支払われる人身傷害一時金や帰宅費用特約といった費目の多くは等級ダウンしないため、まずは事故の一報を保険会社に入れ、事故の受付をしてもらうようにしましょう。

  6. (6)ケガがなくても念のため病院に行く

    ここまで済ませれば、現場を離れても大丈夫です。仮に、体に明確な症状を感じていなくても、念のため病院に行っておきましょう。
    事故直後は気が張っていたり、事故の処理で慌ただしいことから、症状を感じないことがあります。そのような場合にも、医師は、その後どのような症状が出る可能性があるか、仮に症状が出たときにはどうすればいいかなどをアドバイスしてくれるため、そのアドバイスを受けておくことが後々の治療のために有意義なケースがあります。

  7. (7)加害者からの示談に応じてはいけない

    加害者から事故現場で示談を持ちかけられるケースがありますが、その申し出には絶対に応じないようにしましょう。
    その場ではわからなかった車の損傷が後でわかることもありますし、ケガの症状が後から出ることも珍しくありません。もしその場で示談をしてしまうと、後から判明した損害の補償を求めることが非常に難しくなってしまうのです。

2、事故後になるべく早く病院に行くべき理由

交通事故によってケガをしたとき、できるだけ早めに医師の診察を受けることは非常に重要です。
なぜなら、ケガがあること自体を証明するためには医師の診断が必須ですが、事故から日が経つほど、その症状が事故によって生じたという診断がなされにくくなってしまうからです。
医師の診断がなければ、事故直後から痛みがあったことを後日訴えても、それを証明することができません。

また、たとえ医師が「その首の痛みは事故によるもの」と診断していたとしても、その診断日が事故から時間が経っていると、保険会社は事故と症状の因果関係を否定し、治療費などの損害を一切払ってくれないこともあります。

  1. (1)いつまでに病院に行くべき?

    では、どれくらい日にちが空くと、事故と症状との因果関係が否定されるのでしょうか。
    因果関係が認められて補償を受けるためには、自賠責保険が事故と症状との因果関係を認めることが極めて重要です。自賠責保険が因果関係を否定すると、任意保険会社も因果関係を否定しますし、裁判で争ったとしても、裁判所も因果関係を否定する可能性が非常に高くなります。

    自賠責保険は、事故日から最初に医師の診断を受けるまでに2週間が経過すると、ほぼ因果関係を否定してしまいます。1週間ほど経つだけでも因果関係を否定してしまうこともあります。
    そのため、仕事が忙しいといった事情があっても、症状があれば事故から遅くとも5日以内には病院で診察を受けるようにしてください。事故当日かその翌日に行けるのであれば、それに越したことはありません。

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3、被害者は慰謝料を請求できる

慰謝料とは、被害者が受けた精神的苦痛に対する金銭的な補償です。
交通事故でケガをして治療を受けたとき、被害者は、加害者または加害者加入の保険会社に慰謝料を請求することができます。
以下では、慰謝料の決まり方や請求する際のポイントについて解説します。

  1. (1)慰謝料には種類がある

    慰謝料には、まず、症状固定までの入院期間や通院の期間・回数に応じて金額が決まる入通院慰謝料があります。また、後遺症があるときは、その程度に応じて決まる後遺症慰謝料があります。

    慰謝料を請求できるタイミングは、治療が終わってからであるのが通常です。もしケガが治りきらない場合は、いつまでも治療の面倒を加害者側がみてくれるわけではありません。

    一定の期間が過ぎ、症状がこれ以上良くも悪くもならなくなったとき、そのときを「症状固定」といい、それ以降の治療費を加害者側に請求することはできなくなります。
    そして、その症状固定のときにも一定の症状が残っていれば、それは後遺症として別途損害の程度を評価してもらい、その程度に応じた賠償額が決まる仕組みになっています。

  2. (2)慰謝料額はどうやって決まるのか

    慰謝料額の算定基準には、自賠責保険の算定基準、任意保険会社の算定基準、裁判をしたときに用いられる算定基準の3つがあります。

    より高い慰謝料を得られるようにするためには、裁判所基準で慰謝料額を算定してもらうことがもっとも有効です。
    しかし、被害者本人が相手方の保険会社と交渉しても、裁判所基準で慰謝料を支払ってくれることはまずありません。
    保険会社に対して裁判所の基準で慰謝料を算定した慰謝料額を支払ってくださいと言っても、保険会社からは、「それは裁判をしたときの金額なので、裁判所基準の金額が欲しいようでしたら裁判をしてください」と突っぱねられてしまうだけです。

    そんなときは、弁護士に交渉を任せることを検討するべきです。弁護士に依頼することで、より手厚い補償を受けられる可能性が高まります。

4、慰謝料請求を弁護士に依頼すべき理由

被害者が弁護士に交渉を任せれば、保険会社としても裁判に発展することを意識せざるを得なくなります。

裁判をすれば、保険会社としては、保険会社側(加害者側)の弁護士を立てる必要が出てきますし、裁判所の基準で慰謝料が算定されます。
また、一定の範囲で被害者が負担した弁護士費用や、遅延損害金といって賠償金の利息のようなものまで支払うよう裁判所から命じられてしまいます。
そうすると、保険会社としては、保険会社が依頼する加害者側の弁護士費用、被害者の弁護士費用、遅延損害金といった費用負担が大きくなるだけでなく、案件終了までの時間もかかってしまいます。

保険会社はそのような事態は避けたいと考えるため、被害者が弁護士を通じて交渉をすると、裁判にならなくても裁判所基準で慰謝料を算定してくれるのです。
このような理由から、被害者が弁護士に依頼して慰謝料の交渉をすれば、高い慰謝料額で示談をできることが多くなります。

ただし、弁護士に依頼するには費用がかかります。弁護士に依頼することによる慰謝料の増額分と弁護士費用を比較して、弁護士に依頼するメリットを検討する必要があります。
もっとも、その判断を自分でするのは非常に難しいでしょうから、初回相談無料の法律事務所に相談するのが確実でしょう。
このとき、もし被害者の加入する保険に弁護士費用特約がついていれば、弁護士費用を気にする必要がなくなるため、弁護士費用保険があるかどうかを確認してください。

5、まとめ

追突事故の被害は、防ぐのが非常に難しいものです。
もしも追突事故の被害に遭ってしまいお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスまでご相談ください。弁護士があなたの代わりに相手方保険会社との窓口になり、適切な慰謝料を請求できるようサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています